あなたが本当は人一倍心配症で、人一倍 優しいということを、
私はちゃんと知っているわ。











 11 熱〜君の熱を奪う〜











「グウェン〜頼まれてた書類出来上 がったよ〜☆」
「何度言ったらわかる!!そこから出て来るなと言ってるだろ う!!」


いつもの様に、自分の机の引き出しから突如現れたの頭を、 グウェンダルはぐいぐいと押し込む。


「ちょっ、痛いってば!!だって血盟 城からここまで馬だと結構かかるんだもん。大事な書類だって言ってたでしょ?
 だから出 きるだけ早い方が良いと思ってさ。はい。」


は分厚い書類の固まり を、ぺちっとグウェンダルの胸に打ちつけた。


「………………ごくろうだっ た。………………??、お前??」
「良いってことよ〜それじゃあまた ね!?


何か違和感を感じたグウェンダルは、の頭を両手で 鷲掴みにした。


「………………グウェン??痛いってば〜」
「お 前!!凄い熱じゃないか!!」


慌ててグウェンダルは、引き出しから を引きずり出した。


「大丈夫らよこのくらい〜☆」
「いつから寝 ていない!?………………まさか、3日前にこれを渡した時からか!?


グウェンダルは自分のベットにを横たわらせると、の額に手を 当てた。


「あ〜グウェンの手、冷たくて気持ち良い〜♪“手の冷たい人は心 があったかい”って本当かもね〜☆」
「質問に答えろ!!」


話をごまかそうとするに、グウェンダルはついつい怒鳴ってしまった。


「………………すまない。怒鳴って悪かった。」


グウェンダル に怒鳴られ、少ししゅんとなったは、ぽつりぽつりと喋りだした。


「………………だって、グウェンの方こそ最近寝てなかったでしょ?
 だから、少しでもグ ウェンの負担を減らそうと思って………………。」
「私に気を使う必要などない。とりあえず、今晩はここでゆっくり休め。 今、水を持ってく………………」
「行かないで!!」


思わず グウェンダルの服の裾を掴んだは、グウェンダルの何とも言えない驚いた顔を見た 途端、
一気に我に返り、熱で火照る顔が更に赤くなった。


ごごご ごごごごごごごめん!!まだ仕事あるんだよね!?私、ここにいたら邪魔だし、 やっぱり帰るね!!」


グウェンダルは、そう言って勢い良く上半身を起こし たの両肩を掴んで、逆に再びベットに沈めた。


「私のことは良いか ら、頼むから大人しく寝ていてくれ。今、人を呼んで水と薬を持って来させるから。」


そう言ってグウェンダルは、の髪を優しく撫でると、机の引き出しか ら何やら取り出した。


「ほら。」
「??白ブタちゃん??」
「………………うさちゃんだ。」


グウェンダルは、(グウェンダルいわく)うさちゃ んの編みぐるみを の頬にくっつけた。


「私が戻るまで、このうさちゃんが、お前を守っ てくれる。だから、大人しく待っていろ。」
「………………ありがとう。」


がうさちゃんに頬摺りをするのを見てほっとしたグウェンダルは、静 かに部屋を出ていった。



















、薬を持って来たぞ………………!?どうかしたのか!?」


グウェ ンダルが水と薬を持って部屋に戻ると、はうさちゃんを抱きしめながら、しゃくり あげて泣いていた。


「ひっ……うっ………ひっく………寂しいよぉ………… グウェンがいなきゃヤだ〜!!」
『どうして熱が出ると、いつもこう甘えたになるん だ!?』


グウェンは心の中で頭を抱えながら、自分に向かって大きく腕を広 げて“だっこ”のポーズをとっているを、
ぎゅっと抱きしめた。


「………………大丈夫だ。お前が眠るまで、ずっとここにいるから。ほら、薬だけ飲んでゆっ くり休むんだ。」
「………………うん。」


はグウェンダルの手から薬を受け取ると、水と一緒に 一気に飲み干した。
の首もとが上下して、薬を飲み込んだことを確認すると、 グウェンダルは再びを優しく抱きしめた。


「ほら、もうこれで大丈夫 だ。明日にはきっと元気になれる。」
「………………うん………………ありがとう………………グウェン、とっても良い香りがするわ………………」


グウェンダ ルが膝の上にを抱え上げて、優しく背中をなでると、段々落ち着いて来たのか、
は小さく寝息をたてるようになった。


「普段、忙しく動き回っているわ けだし、たまにはこういうのも良いのかもしれないな。」


グウェンダルは優 しく微笑むと、少し汗ばむの額に、そっと口づけを落とした。


「さぁ、そろそろベットに戻………………ベットに戻り………………離れない………………」


意識を手放したは、グウェンダルの首に腕を巻き付けたまま、全 く離れる気配がない。


「………………は ぁ、仕方ないやつだな。」


そう言うとグウェンダルは、を抱えたまま 自らもベットに入った。


「ゆっくりおやすみ、。良い夢を見るんだ ぞ。」


そうして、そのままグウェンダル自身も深い眠りに落ちていった。



















次の朝、知らせを聞いて飛んできたコンラートが見たものは、仲良く同じベットで眠る自 分の兄と最愛の恋人………………。
剣の柄を抜きかけたコンラートを、ユーリが慌て て止めたのは言うまでもない………………。



















ー 本当に熱かったのは、私の手?それとも………………?ー



















[ あとがき]
アンケリク「熱が出たヒロインをグウェンダルが看病する。(甘々)」でし た☆リクを下さったpuwi様、ありがとうございました。
実は私がこを書いている 今現在、39℃近 い熱があって、死にそうになりながら、妄想を膨らませて書きました。(アホ)
しかも 授業中(学生失格)
頭はガンガンするし、立ってられない位に目眩がしますが、心は幸 せですvvv(死)