私よりもあなたが大事。僕よりもお前が 大切。
それは、とヴォルフラ
ムがギュンターに頼まれて、
図書室までユーリの勉強に使う資料を取りに来ていた時のコ
ト………………
「え〜と、“眞魔国の歴史〜湯煙旅情編〜”は〜………………っと、あったこれこれ。」
「“Drチャランポランの魔術研究書”は………………
、
そっちの端の棚の3段目だ。届くか?」
「これ?」
「そうだ、後は………………
“赤ちゃんでもわかる眞魔国語”だけだな。」
「それは確か………………あ!あっ
た!中央の棚の一番上だ!」
は手にしてい
る本をヴォルフラム
に押しつけると、棚の前に駆け寄った。
「う〜ん………………流石にあそこ
は届かないなぁ(汗)脚立、脚立っと〜」
は隅に置いて
あった古びた脚立を持って来ると、それにひょいと登り始めた。
「おい!危
ないから降りろ!僕が取る!」
「いいよいいよ。私の方が身軽だし、私がやるよ☆」
ヴォルフラムの忠告を軽くかわしたは、軽い足取
りで一番上までよじ登った。
「よっし、これだね。」
──────────カシャン──────────
「………………?何の音?」
「危ない!!」
「へ?」
ガシャン!!
相当
古びた脚立だったため、留め具のネジがゆるんでいたのだろう。
脚立の足の付け根の
部分が、突然音を立てて外れてしまった。
バランスを崩して転落する
を、
寸前の所でヴォルフラムが抱き抱える。
の視界一面
に、ヴォルフラムの胸が広がる。
「………………ヴォルフ?」
しばらくじっとしたまま動かないヴォルフラムを不審に
思ったは、小さく身じろぎをした。
「!!」
「う
わっ!?いたたたた〜ぁ(涙)自分から助けといて、何も突き飛ばすことはないでしょ
〜?」
ふと我に返ったヴォルフラムは、慌ててを思い切り突き飛ばしたのだった。
「………………ぅおっほん!………………怪我はないか?」
「私なら大丈夫。ヴォルフは?」
頭を掻きながら何気なくヴォルフラムの顔を見たの表情が、一
瞬で真っ青になった。
「ヴォルフ!!ほっぺ!!」
ヴォルフラ
ムの白い頬に、一筋の赤い線が走っていた。
「触るな!これ位、何てことは
ない!」
「だ、だって!!」
が必死に手を
伸ばしても、ヴォルフラムは軽く避けてしまう。
「僕が痛くないと言ってる
んだから、痛くないんだ!」
「大人しくしてなさい!!治癒魔術でちゃちゃっと治す
だけだから!!」
「だから平気だと言ってるんだ!!何でお前はそう聞き分けがない
んだ!?」
「依怙地なのはヴォルフの方でしょ!?一体何が気に入らないの
よ!!」
「男の体に、むやみやたらに触るなと言ってるんだ!」
──────────男………………?──────────
ヴォルフラムは勢いで本音がそのまま口から出てしまったらしく、から目をそら
して苦い顔をした。
「オトコ………………ってヴォルフ??」
「!?何だ今の間は!!お前は僕を一体何だと思ってるんだ!?」
「あ、い
や、いえ、いや、まぁ、あぁ、そうですよね」
『そっかぁ………………何かあんまり考えた
ことなかったケド、
ヴォルフもちゃんとした“オトコの人”だったんだよね………………』
幼い頃から華奢で可愛いというイメージ
が強かったせいか、
お互いに成長した今でも可愛い弟のように感じていたの
に………………。
「隙ありっ!!
」
「なっ!?」
は、両手で
ヴォルフラムの頬を包んで押さえ込むと、柔らかく癒しの力を送り込んだ。
「………………すまないな。」
ヴォルフラムは不機嫌そうにそっぽを向いた
まま、ぼそりと呟いた。
「な〜にグウェンみたいなコト言ってんの?そゆ時
は“ありがと”、でしょ?」
はニヤニヤし
ながらヴォルフの肩を指先でつつく。
「………………ありがとう………………。」
ヴォルフラムはあくまでもから視線を逸
らしたまま、そっけなく呟いた。
「あたしも、ありがとね。」
「??何
がだ?」
「何って
、体張って守ってくれたでしょ?私の代わりに傷まで受けちゃったし………………」
「お前が気にする様なことじゃない。大した怪我じゃないしな。
………………お前が怪我
をするよりずっといい。」
「………………………………………………………………。」
「………………………………何だ?その目は?」
「ううん☆何でもないよ♪ほら、ユーリとギュンターが待ってるよ?行こ?」
そう言うとは、荷物を抱えてさっさと先に歩きだした。
「………………変な奴だな。って!!ユーリが待ちわびているのはお前じゃなくてこ
の僕だぞ!?
おい!?僕の話を聞けってば!!」
「ね、ヴォルフ?」
「?
な、何だよ?」
「もしユーリが他の人とできちゃっても、ヴォルフは私が嫁にもらっ
てあげるよ☆」
「な!?何を訳のわからないことを言ってるんだ!?お
前、本当に人の話聞いてない
だろう!?」
真っ赤な顔をして怒りまくって
いる(照れまくっている?)ヴォルフラムと、
やたらとご機嫌なの二人組を、
城内の誰もが微笑ましく見守っているのでありました☆
ー
あなたが触れた場所が熱を持つ。お前が触れた場所が熱く疼く。ー
[
あとがき]
以前行っていたアンケートで、「ぜひヴォルフのお話を!!」というお声
が予想以上に多かったので
(こう言っちゃヴォルフに失礼ですが笑)頑張ってみました
☆
基本、ヒロインとヴォルフの会話を書くのがとても楽しいので、
スラスラと筆
が進んだのですが、今回はやっぱり
「男の体にむやみに触るな」
とヴォルフに言
わせたかったのです(笑)
基本ヒロインはスキンシップ好きで誰とでも
いちゃつきますが(いや、変な意味でなく笑)、ヴォルフラムはそれが気に入らない…と
言った感じです(^_^;)