それは、ある日ののどかな昼下がり、と ある少女の無邪気な一言から始まった…………











 19 争い〜お嫁さん争奪戦☆〜











「コンラト〜!ヨザ〜!聞いて 〜!!」


2人で剣の練習をしていたコンラートとヨザックは、楽しそうに駆 け寄って来たの方を振り返った。


「ん?どうかしたのか?」


一旦手を止めて、汗を拭きながらコンラートが尋ねる。


、ダンヒリおじ様のお嫁さんになるの〜!!」


少女の突然の告白に、その 場の空気が凍る。


「??2人とも、どうかし
駄目だ!!


コンラートとヨザックは、不思議そうに首を傾ける、の声を 遮って叫んだ。


「……………………何で?」


は可愛らし く頬を膨らませて2人を睨んだ。


「いいか、、よ〜く聞くんだぞ? “ダンヒリー叔 父様”のお嫁さんは、“ツェリ様”だから、は結婚出来ないんだよ。」


ヨザックが大真面目な顔でを説得する。


「でも、おじさ まは、をお嫁さんにしてくれるって…………」


が悲しそうにう つ向くと、コンラートが頭を抱えて呟いた。


あんの、ロリコン親父 〜!!!!


ぶえっくし!!!!


その時、息子にロリコン呼ばわ りされているとも知らず、ダンヒリーは一人、ソファーでコーヒーを飲んでいた。














父さん!!にいい加減なこと吹き込まないで下さい!!


コンラートは、部屋 でくつろいでいたダンヒリーに詰め寄った。


「いや〜あんまり嬉しくてつい な〜あははは☆」
あははは☆じゃないだろう!!
「いや、お前た ちもいつか、娘を持ったらわかるさ!今の俺の気持ちが!!」
「そんな先の話されて もな〜」


ヨザックがガックリと肩を 落とす。


「……………………、ダンヒリおじ様の、お嫁さんになれな いの?」


黙って2人の後をついて来たは、涙を浮かべてダンヒリーを 見上げる。


「そうだなぁ…………なれないこともないが、って、あ、嘘 嘘、嘘だって!!


コンラートに、足をおもいっきり踏まれたダンヒリーは、突然 悲鳴をあげた。


、ごめんな?どうやら俺は、お前をお嫁さんに貰っ てやれんらしい。怖〜い番犬が2匹もついてるしな〜。」
父さん!!いい加減にしてくださ い!!


コンラートが、顔を真っ赤にして叫ぶ。


「そっ かぁ…………。」


は、残念そうな顔でうなだれたが、すぐに気を取り 直して、満面の笑みで叫んだ。


「じゃあ、コンラトのお嫁さんになる 〜!!」
!?


今度はヨザックが慌てて叫んだ。


ちょっ、ちょっ、!!俺は!?俺のお嫁さんにはなってくれな いの!?


「ん〜?じゃあ、コンラトのお嫁さんになって、ヨザと結婚する〜!!」


いや、それ同じだから!!!!


コンラートとヨザックが同時 にツッこんだ。


「それじゃあ、はコンラートか、ヨザックのどっちか と結婚するのか?」


ダンヒリーの言葉に、コンラートたちは息をのんだ。


「う〜ん…………う〜んとね〜、はコンラートが一番好き〜!!」


は楽しそうにコンラートに抱きついた。
そして、コンラートは、 嬉しそうにを胸まで抱き上げて、片やヨザックは、がっくりとうなだれた。


「でも、ヨザも大好きよ!後ね〜つぇり様も、グエンも、ボルフ( ヴォルフと言いたいらしい)も大好き!!
 みんなと結婚したいわ!!」


の突拍子もない台詞に、コンラートとヨザックは大きく溜め息をついて、肩を落とし た。
息子たちのそんな可愛いやりとりを、目を細めて眺めていたダンヒリーは、思い 切り笑いだした。


「あははははっ!!結局は 、もまだまだ子供だってことだな!!まぁ、お前達はまだまだ先が長いんだ。
 そういうことは、ゆっくり考えたら良いさ。」


ダンヒリーは、そう言うと 3人の頭をがしっと掴むと、くしゃくしゃにした。
の結婚騒動は、この先何十 年も続きそうである。



















ー いつか君は、ただ一人を選ぶ時が来る。その時、横にいるのは、俺でありたいんだー
























[ あとがき]
『3人が子供の時のほのぼの』というリクがあったので書いてみましたが、いかがでしょう?
ほのぼの…………してますか?(笑 )何か微妙にギャグっぽくもありますしね(汗)
どうしても私は、シリアスにしたがる傾向 があるみたいで(笑)、途中大変でした(^_^;)