君の香りは、僕を惑わせる??











 1 香り〜毒女アニシナと魔 性の女!?〜











「この書類をアニシナ の所に持っていってくれ。」


グウェンダルは、束になった書類をに手渡 した。


「別に良いけど、グウェンが自分で持ってった方が早いんじゃない?」
「……………………………………………………。」
「……………………………………………グウェン?」
「…………………………………………頼むからアニシナに持って行ってくれ。」
「何もそんなに嫌がらなくても(汗)」


必死に懇願するグウェンダルが、何だかかわいそうになってきたは、
仕方なく書類を持ってアニシナの実験室に向かった。


「しっかしまた沢 山ためたわね〜。まとめて誰かに持ってってもらおうって魂胆が、丸見えね。」


書類に目を通しながら、呆れたように呟く。


「………まぁ、行きたくない気持ちもわかるけど………。」


は地下に続く 階段を降りながら、この 先の自分の運命を案じずにはいられなかった。
明らかに、アニシナの実験室に近づく につれて異様な空気が漂って来る。


「………やっぱり、その辺の兵士にで も押しつけて、帰ろうかな………。」


そう思ってきびすを返した 瞬間、突然大きな音を立ててドアが開き、
中からアニシナが飛び出して来た。


、良い所に来ましたね!!」
ア、アニシナ!?(何で私 がいること、わかったのよ!?)
 私、書類渡しに来ただけだから、じゃあ ねっ!?


慌てて部屋を出ていこうとするの首根っこを、アニ シナがむんずと掴む。


、ちょぉ〜っとお待ちなさい!!」
「あ の〜、え〜っと、私、グウェンに呼ばれてるから!!」
「あんな奴、いつまでも待たせ ておけば良いのです!!それよりも
 私の新商品の“もにたぁ”になりなさ い!!!」
「なりなさい、って言われても(汗)拒否権はなしですか!?」
「15年間もこのわ たくしを心配させたんですから、それ位当然でしょう?
 さぁ、限界まで目を開いて、しか と見るのです!!」


そう言うとアニシナは、某猫型ロボットのあの口調で叫 びながら、
右手に持っていた小瓶を高く掲げた。


『ほれ〜る香水 〜!!』


「………なんか、その名前聞いただけで、この後の展開が軽〜く予 想出来るんですけど」
「流石ですね!!さぁ、この香水をつけ て、
 眞魔国中のお馬鹿な男たちを、あなたの虜にするのです!!」
「………( やっぱり)あの〜私には、一応コンラートがいるし、
 それに別に私じゃなくても、 アニシナ本人がやれば…………」
「あなたには、世界中の男を従わすことの出来る、 美貌と能力があるのですよ!?
 能力は発揮して何ぼです!!!問答無用 !!」


そう叫ぶとアニシナは、手に持っていた香水をに振りかけ た。


「………………意外と良い香りね?」


“ほれ〜る香水”の 香りを嗅いだ、が意外そうに驚く。


「そりゃあ香水ですからね。あなたは、一体私を 何だと思っているのですか!?」


アニシナが心外そうに怒る。


「それでは、行ってらっしゃい。」
「え!?アニシナは一緒に行かな いの!?」



そう 言うとアニシナは、を自分の部屋のクローゼットまで誘導した。


「………………??何故にクローゼット??」
「このクローゼットは、グウェンダルの部屋 の机の引き出しにつながっているのです。
 名付けて、“どこでもクローゼット 〜”!! 
 どうやら丁度良いことに、部屋にいるようですから、試しにグウェンダルから行 きましょう!!」


「(グウェンの机限定なら“どこでも”じゃないような……)え、つながっ てるって何!?
 ちょっ、ちょ!?押すな!!押すなってばあああああああああ あ!!!!



















ユーリ、私は地球に帰るわけでもないのに、
2度目のスタツアを体験してしまいまし た………………(心の日記 )



















「………………の奴、やけに遅いな。やっぱりアニシナに捕まったか………………。」


部屋で1人仕事をしていたグウェンダルは、に一瞬だ け同情するも、
自分の命に感謝をし再び仕事に戻った。


『(グウェン〜!! あ〜け〜て〜!!)』


どこからともなく女の呼ぶ声が聞こえ、不審に思い辺りを見渡す。


「………………??気のせいか??」
『(グウェン〜!!狭いから早く〜!!)』
か!?」


やっと声の主に気付いたグウェンダルは、慌てて席を立った。


「どこから だ!?」
『(グウェン〜!!ここ、ここ〜!!)』
「………………………………!!まさか!!


いつだったか、アニシナが突如机の引 き出しから現れたことを思い出したグウェンダルは、
慌てて引き出しを開けた。


「あ、グウェン、やほ〜☆」
「やほ〜☆じゃない!!何だって お前まで、そんな所から!?」


は、よいしょっと言いながら、机から 床に降りると、グウェンダルの肩をがしっと掴む。


「ところで、グウェンダル さん??」
「な、何だ??」
「………………………………………………。」
「………………………………………………。」
「………………………………………………??」
「………………………………………………?何なんだ?一体??」


は グウェンダルの顔をまじまじと見つめると、不思議そうに首をかしげた。


「な んか、こうさぁ、ドキドキウハウハな感じに、胸キュンしない??」
「は??」
「だ〜か〜ら〜!!私を見て、ときめいちゃったいしてないの!?」


グウェ ンダルはかわいそうな物を見るような目で、を見つめた。


「………………アニシナに、何かされたのか??」
「私はいたって正常よ!!」


は、一瞬怒って目をつり上げたが、すぐにうなだれてしょぼ〜んとし た。


「………………私、可愛くない??女として魅力ない??」
「なっ!?」
「今すぐ抱きしめたいとか、頭なでまわしたいとか思わな い!?」
「さ、さっきからお前は一体何の話をしてるんだ!?」


グウェン ダルは、顔を真っ赤にして、詰め寄ってくるの体を遠ざけようとする。


「………………私のこと、嫌い??」


は、潤んだ瞳で グウェンダルを見つめる。


「………………嫌いだ……とは、言っては………な いだろう。」


にも聞こえないような、小さな声で、グウェンダルは呟い た。


「アニシナ〜、やっぱ駄目だわ。これ失敗っぽい〜。」
「!?」


“アニシナ”という言葉に驚いたグウェンダルが、慌てて辺り を見回すと………………


「流石!あ などれませんね!!よくぞ私がついて来ていると見抜きました!!」


「………………………………勘弁してくれ。」


引き出しから、アニシナの赤い頭が飛び出して来 たのを見てしまったグウェンダルは、
再び頭を抱えた。


「アニシナは、自分で結果 を見ないと気が済まないでしょ??それにこんな面白そうなもの、
 見に来ないわけがない もの。残念ながら、失敗だったみたいだけどね。」
「………………一体、何が いけなかったんでしょう?
 これは、もう一度調べ直す必要がありそうですね。」


アニシナは、さっそく何やら紙に書き留めている。


「じゃあ、 アニシナ、私はこれで。」
「えぇ。助かりました。では グウェンダル、次はあなたの番です!!」


次のターゲットを定めたアニシナ は、グウェンダルの方に向き直った。


「なっ!ちょっ!!!!黙って見 てないで助けないか!!目を逸らすな!!
「あ〜………がんばれ ☆」


は、満面の笑みで、グウェンダルにエールを送ると、
一瞬にして部屋から出ていってしま た。


「裏切り者おおおおおおおおおお!!!!」


いつも、毒女の 側には悲鳴あり。



















ー 眞魔国三大裏事情…毒女の実験室には、決して近づいてはいけないー



















[あとがき]
グェンの甘々とのリクもあったんですが……普通にギャグですね(汗)
赤のアニシ ナと黒のが手を組むと最強です!!(笑)