、大きくなったらコンラトのお 嫁しゃんになる!!」


幼かった私の、純粋で、可愛いくて、儚い夢。
も う戻れない、甘い夢。











 25 夢〜 僕らの夢の国〜











の夢って 何?」
「どうしたの?急に。」


突然そんな質問をされたは、目を 丸くしてユーリに尋ね返した。


「いや、ギュンターから宿題出されててさ。 “これから陛下が眞魔国の魔王としてこの国を治めるにあたって、夢を持つことは大切で す!!”
 って言われたんだよ。で、に参考ついでに聞いてみたくってさ☆」


ユーリは興味津々といった表情で、身を乗り出す。


「う〜ん、 そうねぇ………………やっぱり、魔族と人間が共存する世界………………かな。」
「あぁ、そういや前にもそう言ってたっけ。」
「ええ。私がルッテンベルクを出て軍 に入ったのも、今こうしてここにいる のも、それが一番の理由だから。」









私の様 な、人間と魔族のハーフに生まれた子供たちが、胸を張って生きられる世界………………


それを実現することこそが、私の生きる理由であり、コンラートとヨザック の夢でもある。


「私はこの国が、みんながいるこの世界が大好き。でも、こ の状況がずっと続いて行くのは嫌なの。
 自分の世界だからこそ、こんなのは嫌な の。」
「うん………………そうだな。」


ユーリは少し悲しげに顔を伏せ ると、小さく呟いた。


「俺、この世界も好きだけど、でも、やっぱり地球に 生まれて良かったと思う。
 父さんと母さんの子供に生まれて良かったと思う。」
「そうね。私もそう思うわ。」









間違いな く、眞王陛下の判断は正しかった。


ユーリが“ユーリらしく”育ったのは、 紛れもなく地球に、渋谷家の次男坊として生まれたからに他ならない。


そし て、ユーリの魂が地球へ送られることが なければ、私もまた、地球を訪れることはなかっただろう。


「私も、地 球に生まれたかったな。」
「地球に?」


「そう。」









地球に生まれたかった。


コン ラートもヨザックも、大好きな人たち、みんなみんな一緒に、地球に生まれたかった。


人間と魔族が共存する世界………………
“地球”という世界 は、眞魔国に生きる者にとっては、お手本にすべき世界なのかもしれない。


そんな世界に、私 も生まれたかった。


けれど地球でだって、民族間の争いは絶えず行われてい る。
沢山の人たちが、今この瞬間でさえ、傷ついている。
涙を流している。


いや、眞魔国に限らず、差別のない世界などないのかもしれない。


「それじゃあ、そういうユーリの夢って何?」
「俺?う〜ん、そうだな 〜………………今更プロ野球選手にはなれないし………………」
「じゃあ、“立派な 魔王になる”っていうのは?」
「それは“夢”っつ〜より“目標”って感じだしなぁ」


自分に問いが返って くるとは考えていなかったユーリは、困ったように頭をかく。


正直、“魔 王”になってからというもの、そんなこと全く考えたことがなかった。
考えるまでも なく、自分のこの先の人生には“魔王になる”という道しかないと思っていたからだ。


「あ」
「何?何か思いついた?」
「じゃあ、俺の夢は、“お前の夢 を叶える”ことにするよ。」



















「………………………………何?(汗)」


ノーリアクションで、じっとユーリ を見つめたまま黙り込んでしまったを、ユーリは訝しげな瞳で見つめ返す。


「今の、すっごい殺し文句。」
な!?おまっ!!人が真面目に 言ってんのに、ちゃかすな!!
「うそうそうそ!!ごめんごめん!!」


ユーリのご機嫌が傾きかける前に、は慌てて手を合わせて謝る。


「ありがと、ユーリ。」
「そ、そんなお礼言われることじゃないよ。」


ユーリは、少し照れたように顔を背ける。


「これだから、私は ユーリが大好きなのよ。」


な!!


顔を真っ赤に して慌てふためくユーリを、は優しく目を細めて見つめる。









あぁ、私は本当に幸せな人間だ。


ほんの少し前までは、心穏やかな日々が訪れるなんて、これっぽっちも思っ てもみなかった。


こんなに幸せな日々が続くと、いつかしっぺ返しが来るん じゃないかと、逆に不安になってしまったりする。









でも、それでも願わずにはいられない。


私の大切な人たちが、いつも笑顔でいられるように。
辛く、悲しい思い をしなくてすむように。



















果てしなく遠い空に思いを馳せて、私は今日もこの世界で生きていく。



















ーあな たの大切な人は、今、笑っていますか?ー



















[ あとがき]
ひたすらヒロインの語りです(汗)
今気付いたんですけど、私の書く 話ってトキメキ要素少ないですよね………………(気付くの遅いから)
ドリーム小 説、って名乗って良いほど夢見れないですし………………(ダメじゃん)