“ケーキ”はただ甘いだけだけど、 “恋”は甘くて苦いんだ。











 28  甘さ〜恋情と愛情〜











「あれ〜陛下 じゃないですか〜?こんな所で何しむがっ!?


木の陰にこっそ り隠れていたユーリに、偶然通りかかったヨザックが声をかけた。


『わっ、 馬鹿!!し〜っ!!し〜っ!!』


ユーリは慌ててヨザックの口を両手で押さ える。


むがむがっ!!な、何するんすか!?』
『良いから 黙ってろって!!気付かれるだろ!?』
『一体誰に………………はっは〜ん☆』


ヨザックは、ユーリの視線の先にいる仲の良い二人組を見て、即座に納得し た。









「ねぇ?本当にユーリ置いて来て良かっ たの?」
「大丈夫だよ。ちゃんとギュンターに言ってあるから。たまには二人っきり でお出かけってのも良いじ ゃないか。」
「でも心配だわ………………。」
「本当に過保護な母親だな?ほら 行くぞ。」


そう言ってコンラートはの手をとって歩きだした。









『陛下も良い趣味してますね〜♪ま、気持ち もわかりますがね☆あ、見失わないうちに俺達も行きましょう。』
『え!?何!?ヨ ザックも行くの!?』
『陛下お一人で、外出させるわけにはいかないでしょう〜?』
「ユーリ!!今日は僕の絵のモデルになる約束だったろう!!もがっ!?


約束の時間になっても現れないユーリを探しに来たヴォルフラム は、大声で叫びながら二人に近づいてきた。
ユーリとヨザックは、素早くヴォルフラ ムに飛びかかり、二人がかりでヴォルフラムの口を押さえつける。


『ヴォル フラム!!悪いんだけど大事な用があるからまた今度に………………』
「ん?あれは とコンラート?………………………………成るほどな。」


一瞬にして 全てを理解したヴォルフラムは、不敵 な笑みを浮かべる。


「僕も行くぞ!!」


こうしてズッコケ三人 組………………ユーリ、ヨザック、ヴォルフラムは、
とコンラートのデートを 追跡することになったのであった。



















「何やらお洒落な喫茶店に入って行きましたね〜☆」
「そういや新しくケーキの美味 しいお店が出来たって、が行きたそうに話してたな〜。」
「僕たちも入る ぞ!!」
「え!?バレるよ!?」
「こんな場合も考えて、ちゃんと用意してきま したよ〜秘密道具!」


ヨザックが得意気に大きな袋を取り出した。


「マジで!?流石ヨザック!それで何持ってきたの!?(てゆかいつ取りに 行ったんだ?)」
グリ江ちゃん特製女装グッズ〜☆(三人分)
『………………………………。』
「あれ?何で黙るんすか?二人とも。」
「………………アニシナさん風に言う理由はあるのだろうか………………いや、そうじゃなく!!普通に嫌だよ!!


ユーリは真っ青な顔を して、全身で拒絶した。


「ケーキ屋さんに男が三人でいたら明らか目立つで しょ〜?大丈夫!!陛下もプー坊ちゃんも可愛くなれますよ!!
 グリ江ちゃんが保 証しちゃう☆」
「可愛い可愛くないは関係ないっての!!ヴォルフラムも何か言って やれよ〜」
「僕はやるぞ!!」
は!?


予想外のヴォ ルフラムの“やる気満々発言”にユーリは開いた口が塞がらない。


「コ ンラートがに不埒なことをしたらどうする!?背に腹は変えられん!!」
「喫 茶店で不埒もなにもないだろ!?勘弁してよ〜も〜」


こうして三人は、二人 の後を追って女装して喫茶店に潜入したのだった。



















「美味し〜vvv噂通りだわ!!」


幸せそうな顔でケーキを口に頬張るを、コンラートは微笑ましそうに見つめている。


「………………コンラートは食べないの?」


は紅茶しか頼んでいない コンラートに、不思議そうに尋ねる。


「美味しそうに食べるの顔を見 てるだけで、俺はお腹一杯だよ。」
「え〜?こんなに美味しいのにもったいないの 〜」
「じゃあ一口だけちょうだい?」


そう言ってコンラートは大きく口 を開けた。


「………………何よその口は(汗)食べさせろっていうの?」


コンラートはにっこり笑って首を縦に振った。


「……………… もぅ。今回だけだからね?はい、あ〜ん。」
「うん。甘くて美味しいよ。」


そうして二人は互いに微笑みあった。


「あ〜あぁもう見なさい よ、ユー子にヴォル美!あの隊長の幸せそうな顔〜!目ぇ垂れ下がって、鼻の下もびろ〜 ん!
 本当嫌だわ〜!」
「………………ヴォル美は無理があるだろう!じゃなかった、 あるんじゃございません!?」
「僕、いや、私もコンラートのあんな嬉しそうな顔、 見たことございませんわ!」
「そうだな〜………………そうですわね(汗)それにも、やっぱりコンラートと いると、表情が違い………………
 ますわね(滝汗)」


そう言うとユーリはちら りとヨザックに目をやりながら、小さく尋ねた。


「ヨザックはさ、の ことが好きなんだよな?」
「えぇ☆………………って、自分が聞いたくせに何で驚い た顔してんすか?」
「あ、いや、即答されるとは思わなかったからさ。
 ………………だって、ヨザックはコンラートを尊敬してるだろ?だからそこらへんはどうなのか と思ってさ。」
「う〜ん。まぁ正直、滅茶苦茶悔しいですし、隊長がにくたらしいで すよ?でも、が幸せならそれでいいし、
 が誰を好きであろうと俺がナ マエを好きなのは、変わることのない事実ですからね〜☆」
「何か、大人だなぁ 〜?」


普段は軽い感じなヨザックの思いがけない真面目な台詞に、ユーリは すっかり感心してしまった。


「あ、でも勘違いしないでくださいね?俺は諦 めたわけじゃありません から☆
 隊長があいつを泣かしたら問答無用でかっさらいますし♪勿論陛下にも遠慮 はしませんよ?」
「な!!俺だって!!」
「お前たち何を自分勝手なことを言っ てるんだ!?コンラートと別れたら、は僕の所に来るに決まってるだろう!?」
「そう言うお前が一番自分勝手だよ!!てゆか何でヴォルフラムまで参戦するわ け!?」
「そ〜ですよ〜そもそもプ〜坊ちゃんには陛下がいるじゃないですか〜?」
「それとこれとは話が別だ!!」
「お嬢さんたち、えらく盛り上がってます ね?」
!!!!!!!!!!


いつの間にか、コンラート が腕を組んで三人のテーブルの前に立っていた。


「あ、あら〜隊長、偶然で すわね〜☆(汗)そういえばさんは?」
はユーリへのお土産を買いに 行ってるよ。あ、ついでに言うと、にもとっくにバレてるから。」


コ ンラートは、極上の笑みを浮かべた。


『怖い!!怖すぎる!!』


三人は思わず唾を 飲み込む。


「で?お前たち。俺とのデートを邪魔しておいて覚悟 は出来てるんだろうな?
「あ、人がいない間にズッコケ三人組にバラし ちゃったの〜?あ〜あ☆つまんないの〜!」


そこへ、大きな紙袋を持ったが駆け寄って着た。


「そんなに来たいなら一緒に連れて来てあげたのに ☆別に女装してまで来なくたってさ〜。
 ほら、一杯ケーキ買って来たから、早く 帰って食べよ?」


「って、も言ってることだし、今日だけは 許してあげるよ。」


そう微笑みながら低い声で呟くと、コンラートは の手をとってさっさと歩きだしてしまった。


「あ、あと、恥ずか しいから少し離れて歩いて下さいね三人とも。」
「………………コンラートっ て、絡みだと本気で黒いよな………………」


普段は自分に優しい名付 け親の意外な一面を見てしまい、ただ、呆然とするしかないユーリであった…………… …。



















ーほらね? とっても苦いんだー



















[ あとがき]
アンケリク「ヒロインとコンラートのデートを皆で尾行する」でした☆
リクしてくださった方、ありがとうございました!!