いつだって俺は、君に見守られていたん だ。
あの時も、この時も………………
え?そんな時まで!?











 2 初めて〜はじめてのおつかい〜











「い〜い?ゆ〜ちゃん。まず、駅前のポストにこのお手紙を入れるのよ?」
「ホスト 〜?」
惜しい!!それは夢を売るお兄さんのお仕事よ☆
 ポスト は、お手紙を入れる真っ赤な箱よ。」
「わぁった〜!!」
「よろしい☆その次は お魚屋さんに行って、
 サンマさんとスズキさんを2匹ずつ買って来てちょうだ い。」
「タモリさんとサトウさん〜?」
残念!!タモリさんじゃな くて、サンマさんよ!!
 それと、珠緒ちゃんじゃなくてイチローだからね?」
「ぁい〜!!」


長く続いた 梅雨があけ、久しぶりに青空が広がったある日のこと


渋谷家の玄関口では “はじめてのおつかい☆ゆ〜ちゃん5才の夏”
が始まろうとしていた。









「はい、これでバッチリ☆気をつけて行って らっしゃい!!」
「あぃっ!!」


最後に、美子が有利の頭に帽子をかぶ せると、有利は元気よく歩きだした。









そ んな二人の様子を、塀の影から
そっと見守る少女がここに一人………………









『はじめてのおつかいに、イキナリ魚は難し いでしょう(汗)
 美子さんはまた無謀なことを………………』


有利の成 長を見守るべく、眞魔国からはるばるやってきたは、
いつもの様にいつものごと く、今日も影から有利の様子をこっそりと窺っていた。


『まぁ、多分大 丈夫、よね………………?美子さんが後からこっそりついて行くだろうし、
  私が心配する必要は………………』
「さ、ゆ〜ちゃんを無事送り出したことだし、早くお洗濯すまし ちゃいましょ☆」


そんなの願いもむなしく、美子はさっさと家の中 に引っ込んでしまう。


『え!?お、お母さん!?普通、心配して後からつけ てくものじゃないの!?
 ………………だ〜っ、もう!!』


呑気に構え ていたは、
慌てて有利が歩いて行った方に駆けだした。


『美子さん に、普通の母親の感性を期待しても無駄か………………
 しかたない!!私が行くし かないわね!!』


こうして、は“はじめてのおつかい☆ゆ〜ちゃん五才 の夏”
を見守ることになったのだった………………









「ある〜日ぃ〜森の中ぁ〜馬さんに〜で〜 あぁた〜♪」
『有利………………馬さんじゃなくて、熊さんよ………………』


第一関門である手紙をポストに投函する事に成功して、
ご機嫌な有利を よそに、その5M後をゆっくりついていくはと いうと………………


『端から見れば、私って相当怪しいわよね………………』


丁度、夕方のお買い物時で、人通りは少なくない。
先ほどから、電 柱の影に隠れながら少しずつ移動をしているを、
通りすがりの人たちが不思議そ うな顔で眺めていた。


『この分だと、むしろ私が補導されてもおかしくない わ(汗)
 ………………はぁ。』


「おちゃかなやさん〜!!」
「え? 魚屋はまだ先のはず………………」


そう不思議に思って視線を移すと、
目標地点めがけてパタパタと駆けて行く有利の先には………………


「おちゃ かなさん、おいしそ〜ね〜♪」









色鮮やかな熱 帯魚たち









いやいやいや!!確か に魚は売ってるケド、そこはペットショップだから!!
 熱帯魚は食べ ちゃダメだから!!(汗)』


「ぼく、どうしたの? 」


熱帯魚の水槽にヘバリついている有利に気がついた店員が、気をきか せて話しかける。


「タモリを2匹くだしゃい!!」
「タモリ………………?あぁ!!イモリのことかな?イモリが2匹欲しいの?」


ち〜 が〜う〜!!
「そりぇと、タナカ!!」
「タナカ?」


スズキだっての!!あぁ〜っもう!!』


すいません!! お騒がせしました!!


とうとう我慢ならずに飛び出してしまったは、唖然とする店員にかまわずに、
有利を脇に抱えてその場から走り去って 行った………………









「おねぇちゃん、だれ 〜?」
『あ〜た〜し〜の〜バカバカバカ!!これじゃ本当に誘拐犯じゃな い………………(汗)』


いつまでも抱えて走る訳にもいかないので、
ある 程度離れた所でとりあえず有利を降 ろす。
必死に言い訳を考えるものの、とっさには良い考えが思いつかない。


「………………お、おねぇちゃんは、困った人を助ける正義の味方な の!!」
「ゆ〜ちゃん、困ってないよ〜?」
「………………あのね、有利君?マ マにお買い物を頼まれたのは、“タモリとタナカ”
 じゃなくて“サンマとスズキ”じゃな いかな?」
「おぉ〜!!何でおねぇちゃん知ってるの?」
正義の味方に は、何でもお見通しよ☆(汗)
お〜っ!!!!


すっ かり“正義の味方”を信用してしまった有利は、瞳を輝かせてを見つめる。


「有利君、今からおねぇちゃんが、君をお魚屋さんに連れてってあげる。」
「でも、ゆ〜ちゃん一人でも行けるよ〜?」
おねぇちゃんは任務を果たさ ない限り、星に帰れないのよ!!だから有利君!!協力して!!」
「わかっ ちゃ〜!!」


こうして有利の説得に何とか成功したは、有利の手を 取 って今度こそ本当の魚屋で
“さんまとスズキ”を買うことが出来たのだった。



















「じゃあ、有利君。今日は本当によく頑張ったね!!
 後は、寄り道せずに真っ直ぐ お家にお帰り。」
「え〜!!もうおねぇちゃん帰っちゃうの〜?」


少し の間にすっかりに懐いてしまった有利は、
の服の裾を握ったまま離そうとし ない。


『可愛いなこんにゃろめ!!』


思わず緩む頬を必死に引 き締めると、
はしゃがんで有利の瞳を真っ直ぐに見つめた。


「有利 君に辛いことや、悲しいことがあったら、すぐにまた飛んでくるから。」
「ほんとう に?」
「うん。約束。」
「やくそく…」


が指し出した小指に、 有利はしぶしぶ自分の小指を絡ませた。


「元気でね、有利君。おねぇちゃん はいつも君を見守ってるから。」
「うん!!ありがとう!!」


最後には優 しく有利の頭を撫でると、逃げるようにしてその場を後にしたのだった………………





























「………………あの時の変なね〜ちゃんって、お前だったのかよ………………」
「変 なって!!失礼な!!素敵☆な思い出じゃないの」
「どこが素敵☆だ!! はっ!!も、もしかして、
 俺の人生でたまに記憶の断片に残ってる“変な 人”って、もしかして全部お前か!?」
「あ〜そろそろギュンターが帰って来そうね 〜じゃあ私はこれで☆」
話をそらすな〜!!


『本当は、 きっと駄目なんだろうけど………………ね』


有利が少しずつ成長する間も、 全然、年を取らずに存在する人間………………


そんな人間が、側にいて 良い筈がない。


でも、そうとわかってはいても、どうしても有利の人生に関 わりたかった。
関わりたかったの。



















ーいつだって私はあなた の味方。あなただけの正義の味方ー



















[あとがき]
はい、一ヶ月ぶりの更新です☆
小説は更新しないくせに、サイトデザ インばっか変えやがって!!
とお思いの方、多いと思います………………
何だかどうやっ ても使いずらいんですよ(汗)
誰か私に良いサイトください(意味不明)

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何故か有利夢 が書きやすくてしかたない今日この頃………………
自分でも不思議なくらい有利がらみの ネタしか思いつきません(笑)
てなわけで、次もまた有利夢になりそな予感です………………