「オレンジ〜!!!!」
その時私が
見つけたものは、きっと最高の“タカラモノ”
私の一生の“宝者”
私が彼を見つけたのは、ほんの偶然
の出来事。
でも今思い返せば、それは確かな奇跡。
「?」
コンラートに内緒で、こっそり街に出かけたある日の帰り道、ふっ、と何か
明るいモノが私の視界を横切った。
「!!」
何気なくその方向
を振り返ると、視界一杯に大きなオレンジの実。
「オレンジ〜!!!!」
あまりの衝撃に、思わずそう声に出しながら駆け寄ってみると、
その大
きなオレンジは微かに動いてみせたのだった。
『………………オトコノ
コ?』
その時になってはじめて、その大きなオレンジが、オレンジ色の髪を
した少年なのだと気が付いた。
『すごい!!きっとこのお兄ちゃんは、“蜜柑の国”から来たんだわ!!』
勝手
にヨザックを“蜜柑の国の少年”と決めつけた私は、心を踊らせてそっと彼に近づい
てみる。
「お名前は〜??」
私がそう尋ねても、そのオレンジの頭から
返事は返ってこない。
「お〜な〜ま〜え〜は〜??」
もしかしたら、蜜
柑の国の人には言葉が通じないのかもしれない、
と、何だか不安になった私は、ゆっく
りと大きな声で、もう一度呼びかけてみた。
「………………ヨザック。」
そう小さく言葉を返した少年の瞳は、どこまでも悲しい色をしていた。
『………………と、おんなじ目をしてる………………』
本当は、誰よりも澄んだ心をしているのに、その境遇故、悲しい程に光を宿さない瞳………………
『お家に連れてけば、このお兄ちゃんも、みたいに元気にな
れるかもしれない!!』
一目でその“蜜柑の国の少年”を気に入った私は、
さっそく彼を家に連れ帰ることに
決めたのだった。
「?」
「なぁに?コンラト。」
「………………はぁ」
『何で
は外に出かける度に、こう何でもかんでも拾って来るんだろうか………………』
の手に引きずられる様にしてやって来たのは、いつもの様な犬でも猫
でも鳥でも虫でもなく、
自分とそう年は変わらないであろう一人の少年だった。
『しかも』
「………………もしかして君、人間と魔族のハー
フ?」
俺がそう尋ねると、その少年は不機嫌な瞳で俺を睨んでくる。
「あぁ、すまない。悪い意味で言ったんじゃない。俺もも君と同じ、
魔族のハーフなんだよ。」
「!!」
ヨザックはそれを聞いて少し驚いた
顔をしたものの、俺に対しては全く口を開こうとしなかった。
しかたがなく俺は、矛
先をに変えることにする。
「、犬や猫じゃないんだから………………」
「ダメ?」
「ダメじゃないけど、こんなことばっかりしてたら、いつか家の床が抜け
るぞ?」
「お家壊れちゃうの!?」
それを聞いたの顔
は、一瞬で真っ青になった。
今、彼女の頭の中では、この家が崩れているシーンが流
れているのだろう。
「………………、このお家が無くなっちゃうの、
イヤだ。」
「あぁ、だから“これから”は、むやみやたらに拾ってこないこと!いい
な?」
「!!じゃあ、ヨザは良いの!?」
「連れて来ちゃったもんは仕方がない
だろう。父さんには俺から言っておくよ。」
「ありがとう!!コンラト大好き!!」
その後、仕事を終えて帰って来たダンヒリー
叔父様も、快くヨザを受け入れてくれた。
「、お前、また良いモン
拾って来たなぁ!!」
「父さん!!一言くらい怒ってくれないと、が次々に
拾って来ちゃうだろ!!」
「なんだ?家族が増えるのは良いことじゃないか!!はは
ははっ!!」
こうして、“蜜柑の国の少年”は、私たちの
“家族”になったのだった。
「俺の心も体も、あの日に拾って貰ってからずっと、だけのモノですから
☆」
ヨザはことあるごとに、こう口にする。
“俺の命は
のものだ”と。
どうやら、私は本当に大変なモノを拾ってしまったらしい。
「が見つけてくれなかったら、俺は確実にあのままのたれ死んでた
よ。お前は俺の命の恩人だ。」
そんなことない。
むしろ、いつも頼って
ばかりいるのは私の方。
いつも私を明るく照らしてくれるコンラートが太陽
だとすると、
いつも優しく見守っていてくれるヨザは、私にとって月みたいな存在。
人が、太陽と月のどちらか一方だけでも欠けてしまっては生きて行けない様
に、
私も二人がいなくちゃ生きては行けないの。
ーあなたは月。私の心を優しく照らす、暖かな
月ー
[
あとがき]
ヒロインとヨザックの初めての出会いのヒロインサイドです。
一般の
キャラ設定的には、飛び抜けて明るいヨザックが太陽で、
比較的穏やかなコンラート
が月………………
という感じはするのですが、
でもやっぱり「君マヒロイン」に
とっては、
コンラートが太陽でヨザックが月、
の方がしっくりきたのであえてこ
うしてみました☆
今回は視点が次々に変わって、読みにくいこと甚だしいのですが、
少しでも楽しんでいただけたら幸せです(●´∀`●)