景侍郎ったら、こんなもの一体どこから 貰ってくるのかしら?











 藍姫番外編 弐 恐怖!仮面男の怪!?











「幽霊屋 敷の入場券?」
「えぇ。知り合いからいただいたのですが私は都合が合わないので、 さんと鳳珠で楽しんできてください。」


柚梨から手渡された入場券は、 今、巷で話題の本格的な幽霊屋敷がある娯楽施設の無料券だった。


「………………でも、ここって、凄く怖いって有名な所ですよね?」


が不安そう な顔をすると、柚梨はにっこりと笑ってこう言った。


「大丈夫ですよ。鳳珠 の仮面を見たら、お化けの方が逆に逃げ出しちゃいますから☆」
うおっほ ん!!柚梨!!聞こえてるぞ!!


二人の話を黙って聞いていた鳳珠 がわざとらしく咳払いをした。


「幽霊と言っても所詮、中身は人間ですから ね。鳳珠には到底かないませんよ。
 だか ら安心して行ってらっしゃい。」


鳳珠をキレイに無視した柚梨に無理矢理に 券を握らされたは、結局その日の夕方に、
二人で行ってみることにしたのだっ た。



















『次のお客、女の子の方、滅茶苦茶可愛いぞ!!』
『本当か!?』
『………………しかし彼氏の方が………………』
『何だ?凄く強そうなのか?』
『………………仮面が………………』
『は?』
『お前たち!次の客が来たぞ!配置につけ!』
『はいっ!!』


幽霊(中身は人間)たちがそんな会話をしていたとは露知 らず、と鳳珠は手を繋いで歩いてきた。


「………………騒ぐ程のことで はないな。大した仕掛けもあるまい。」
「………………鳳珠は仮面でちゃんと周りが 見えてないから、そんな余裕ぶっこけるのよ!!」


入ったばかりだというの に既に限界に近いは、鳳珠の背中にぴったりとくっついて歩いていた。


「そんなに怖いなら、貸してやってもいいが?」


そう言って仮面に手をかけ ようとした鳳珠の腕を、は思い切りはたいた。


「いらないっつ〜 の!!良いからサクサク進む!!」
「………………………………………………。」


鳳珠は不満そうに仮面を装着し直すと、の手を引いて再び歩き出 した。


うひゃあああああ!!ろくろ首〜!!!!
「………………これの何が怖いんだ?」
ぅわあああああん!!一つ目小僧だ 〜!!!!
「………………だからこれのどこが………………」
ゃあああ ああっ!?触るなあああああ!!!!
触るだと!?


慌てて 鳳珠が後ろを振り返ると、が大きな瞳に涙を溜めて、鳳珠にへばりついていた。


「鳳珠〜!!お尻触られた〜!!」
「何だと!?」


鳳 珠は片手でを抱え上げると、もう片方の手で茂みに隠れていた幽霊を引っ張り出し た。


「うわぁぁ!?」
「お客さん!!やめてください!!」
「お客さん!!困りますよぉぉ!!」


その後ろから、さらに二人の幽霊が出てきた。


「お客さん、言 いがかりは困りますよ。脅かす過程で少し触るのは仕方のないことでしょう?リアルさも 増しますし。」
少しじゃない!!べらぼうに触った!!


しゃあしゃあと言い訳をする幽霊其の一に、はくってかかる。


「と、連 れは言っているのだが?」
「お嬢さんが大袈裟に言いすぎなんですよ。」


今度は幽霊其の二が鼻にかけて笑う。


「私は触られた覚えはな いが?幽霊は女性しか触らないのか?」
「そっ、それは………………」


すごむ鳳珠に怖じ気づいた幽霊其の三は、少し後ずさりをした。


「………………どうやらお前たちは本気で私を怒らせてしまったようだな。」
「………………鳳 珠?」


いつもとは様子が違う鳳珠に、は不安になって鳳珠の服の裾を掴 んだ。


「大丈夫だ 。この世には“幽霊よりも怖いもの”があるということを、思い知らせてやる。」


そう言うと鳳珠は、自らの仮面に手をかけた。


!?ま、まさか、鳳 珠!!


が慌てて止めようとしたがそれも虚しく、鳳珠は素早く 仮面を取り去ってしまった。


「「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」


鳳珠の素顔 を直視してしまい、声にもならない叫びを挙げた幽霊三人は、あっさりその場で気絶して しまった。


「口程にもない奴らだ。」
「………………鳳珠(汗)」


その後の二人はというと、人目につかないようにこっそり屋敷を抜け出し て、無事に帰路についたそうな。


こうして『恐怖!!仮面男の怪』という都 市伝説は、その後も未来永劫、語り継がれるのであった………………



















[ あとがき]
キリリク9000「鳳珠とお化け屋敷デート」でした☆
キリ番を踏ん でくださった 長月汀華様に捧げます。
こんな駄文で良ければ、キリリクありがとうございました m(_ _)m
気に入っていただけたら幸せです!!