………………告白します。実は、小さい
頃、私はヴォルフが大っ嫌いでした。
だって、ヴォルフがいると、コン
ラートはヴォルフばっかりかまうんだもの!!
子供心に、私に気に入られていない
ことを悟っていたのか、ヴォルフは私に好かれようと、妙に私に懐いてきた。
それは周りに言わせると、当時のヴォルフラムは“にかまってもらい
たい病”だった。とまで言われていたほどだった。
「!!ボクとあ
しょぼ!!」
「や〜よ!!はボルフと遊びたくないの!!」
「やだや
だ!!ボクはとあしょぶんだ〜!!」
子供な分、更に欲望に忠実な
ヴォルフは、今よりもっと“ワガママプー”だった。
「………………いい
わ、遊んだげる!!」
「ほんと!?」
ヴォルフの表情が、一瞬にして、
パッと明
るくなる。
「お城の裏の森に探検に行くわよ。」
「え!?でも、お母様
たちがお城の外には出ちゃダメだって………………」
城の裏にある森は、魔
物が住む森として、皆に恐れられていたので、子供たちだけでの外出は認められていな
かったのだ。
「なぁに?ボルフ怖いの?ならいいよ。だけで行くも
ん!」
「ダメだよ!!ボクも行くよ!!」
こうして簡単ににそそ
のかされたヴォルフは、二人で探検に出ることになってしまったのだった。
「前、ヨザが言ってたの。この森には、とぉっても大きいヘビがいるんだって!!」
以前にコンラートとヨザックが2人で森に行った時に、自分は連れて行って
もらえなかったことを根に持っていたは、
誇らしい気持ちで一杯だった。
「もう真っ暗だし帰ろうよ〜」
「もう!!ボルフは弱虫何だから!!」
怖がっての背中から離れないヴォルフラム
を、が呆れたように振り返ると………………
カサカサッ………………………………
近くの茂みで怪しい光が動めいた。
『裏の森には、怖い
怖〜い巨大なヘビがいるんだぞ〜!?』
そう言って脅かしてきたヨザックの
台詞が、の頭に甦ってくる。
「わああああああああああああああ
ああああああん!!!!!!!!!!」
自分で言い出して、無理矢理ヴォル
フラムを引きずって来たものの、実の所は恐怖心で一杯だったは、
我慢しきれ
ずに泣き出してしまった。
しばらくはそんなを見て、おろおろしてい
るだけだったヴォルフラムだが、
突然立ち上がるとに背中を向けて、立ちはだ
かった。
「大丈夫!!は、ボクが守るよ!!だから、泣かない
で!!」
普段はの後ろをひょこひょこついて回っていたヴォル
フラムが、初めての前に立った瞬間だった。
「
!!ヴォルフラム!!」
「コンラト!!」
夜になっても
帰ってこないチビっこ二人組を探しに森に入ったコンラートが、必死の形相で草をかき分
けて駆け寄って来た。
「!!あぁ!!無事で良かった!!」
「コンラト〜!!」
コンラートを見て安心したのか、は
再び大きな声で泣き出した。
「隊長、足早すぎっすよ〜って!!
抱きしめるより、先にこっち片づけてくださいよ〜(汗)」
少し遅れて
現れたヨザックは、コンラートに美味しい所を全部取られてしまい、面白くなさそうに口
を尖らせる。
「いいから、ほら、早く帰るぞ。母さんたちも心配してるん
だ。」
それだけ言うと、コンラートは、さっさとを抱えて歩きだして
しまった。
「へいへい☆んじゃ俺たちも行きましょ〜かね〜………………って坊ちゃん、
寝ちゃってますね。」
ひどく大人しいと思ったら、ヴォルフラムはヨザック
の背中で、穏やかな寝息をたて
ていた。
「………………コンラート。」
「ん?何だ?お前も眠たかった
ら、寝ても良いぞ?」
しばらく静かにしていたが急に喋り出すと、
すっかり眠ったものと思っていたコンラートは驚いて振り返った。
「………………違うの。あのね、ごめんなさい。が全部悪いのよ?だから、ボルフは叱らな
いでね?」
「………………わかってるよ。俺たちに仲間ハズレにされたのが寂しかっ
たんだろう?」
「………………………………。」
図星をつかれて、はしゅんと黙り込んだ。
「仕方がないなぁ本当に。でも、今回のことで懲
りただろう?これからは子供だけでは
「大丈夫よ!!」
急には大声で叫んだ。
「だって、だってね?ボルフがを守ってくれたも
の!!ボルフがいたから、コンラートがいなくても平気だったわ!!」
「…………………そうか。」
コンラートは、なんだか嬉しそうに、そして、少し寂しそう
に微笑んだ。
それからという
ものの、ヴォルフラムは前のようにについて回ることがなくなった。
その代わりに、剣を習いだし、前まで慕っていたコンラートを、あからさまに避けるよう
になっていった。
一方の私はというと、何だか反抗期の子供を持ったような気持ちになり、
今度は逆に私が
“ボルフにかまってもらいたい病”になってしまったのだった(笑)
ついでに
言っておくと、それは、現在進行中である☆
「ヴォルフ〜遊ぼ〜♪」
「ばっ!!だから抱きつくな〜!!!!!!!!」
ーそれ
は、コンラートもヨザックも知らない、私たちだけの、秘密の冒険ー
[
あとがき]
アンケリク「小さい時、ヴォルフラムと二人で何も言
わずに城を抜け出す。」でした☆
無記名でしたが、リクありがとうございました!
本
当は“ほのぼの”とのリクだったのですが、シリアス+ちょい甘になってしまいました(
汗)
この話は「41 初恋〜ヴォルフラムの場合〜」とリンクしてます☆よろしけれ
ば、そちらも見てやってくださいな♪