僕の初恋は………………あっ!!ユーリ
には内緒だぞ!?
………………実を言うと、だったんだ。
初めてコンラートに連れられやっ
てきたを見た瞬間、僕は全身総毛立った。
周りの皆は、僕の金色の髪を褒め称
えたけれど、僕は、の黒髪の方がずっと綺麗だと思った。
「ボルフの
髪は、お星さまみたいね。キラキラして、とっても綺麗!!」
僕を見たの、第一声がそれだったのも、ひどく印象に残っている。
それからというもの、年の近い僕と
は、必然的によく遊ぶようになった。
そして、兄が二人いる僕にとって、女
の子の遊び相手というものは初めてだったこともあり、
僕はと仲良くなりたく
て必死だった。
ところが、何が気に入らなかったのか、は僕を………………僕
を………………この僕を!!
………………ぅおっほん………………あ
まり好いてはいなかったようで、僕をことごとく拒否していた。
そんなある日のことだった。
僕は
と、城の裏にある魔物の住む森に探検しに行くことになってしまったのだった。
「前、ヨザが言ってたの。この森には、とぉっても大きいヘビがいるんだって!!」
「ヘビ!?」
ヴォルフラムの顔が真っ青になる。
「………………やっぱり帰ろうよ?」
「ダメよ!!前にヨザとコンラートが2人で森に
行った時に、も行くって言ったら、ダメって言われたの!!
女の子だからダ
メ!!小さいからダメ!!そんなの、納得できないもん!!」
昔から負けん
気の強かったは、2人にのけ者にされたのが相当くやしかったらしく、
“ヴォ
ルフラムが行かないなら一人で行く!!
”と言って聞かなかったのだ。
「もう真っ暗だし帰ろうよ〜」
「も
う!!ボルフは弱虫何だから!!」
が、ヴォルフラムにそう叱咤した
時だった。
カサカサッ………………………………
『!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
「ボ、ボルフ、い、今、そこ
………………?」
「な、何か、動いた………………?」
思わず、二人は
互いに抱きしめあった。
二人が見つめる先の草むらに、小さな赤い光が二つ、怪しく
光る。
「わああああああああああああああああああああ
ん!!!!!!!!!!」
あまりの恐怖に耐えきれず、はついに泣き
出してしまった。
必死に自分にしがみつくを見て、最初は困っていたヴォルフ
ラムもついには決心を固め、
近くにあった“棒きれ”を剣に見立てて、真っ直ぐに構え
た。
「大丈夫
!!は、僕が守るよ!!だから、泣かないで!!」
そう言って
ヴォルフラムが立ち上がった、まさにその時だった。
「!!ヴォ
ルフラム!!」
「コンラト!!」
“本物の剣”と明かり
を持ったコンラートが、草をかき分けて駆け寄って来た。
「!!
あぁ!!無事で良かった!!」
そう言うとコンラートは、迷わずを抱
き上げた。
「隊長、足早すぎっすよ〜って!!抱きしめる
より、先にこっち片づけてくださいよ〜(汗)」
少し遅れてヨザックが現れ、
草の陰に潜んでいた小さなヘビを片手でひっ掴んだ。
「だから危ないって
言ったのに!!………………ほら、もう泣くな。お説教は帰ってからだ。」
そう言ってコンラートは、優しくの背中を撫でた。
「ヘビもポイした
し、そろそろ帰りますか〜。ほら、じゃあ坊ちゃんは俺が☆」
そう言ってヨ
ザックは、軽々
とヴォルフラムを抱え上げた。
「………………格好悪い………………。」
「え?何か言いました?」
「………………何でもない!!!!」
そ
う言ってヴォルフラムは、ヨザックの首にキツく抱きついた。
凄く、凄く、くやしかったんだ。
を守れなかった自分にも腹が立ったし、何よ
り、物語の王子様の様にを助けたコンラートが羨ましかった。
僕がもう少し強ければ、を守れたかも
しれないのに。
僕にもう少し勇気があれば、森に行く前にを止めれたかもしれ
ないのに。
確か、この時からだ。僕がコン
ラートにキツく当たるようになったのは。
「ヴォ〜ルフ〜ッ♪」
「わっ!!何だ!!お前は一体、何故いつもいつも僕に抱
きついて(飛びかかって?)来るんだ
!?」
「遊ぼ遊ぼ〜☆最近ヴォルフ、私にかまってくれないしさ〜。
あ
〜あ。昔はヴォルフの方からこうやって来てくれたのにね〜?」
は
ヴォルフラムに後ろから抱きついたまま、ニヤニヤと笑う。
「なっ!?
いつの話をしてるんだ!!」
『あの時
の“ボルフ”、すっごい格好良かったよ?』
がヴォルフラムの耳元で小さく呟いた。
「!!!!!!!!!!??????????」
「へっへ〜ん☆もう言わない
よ〜ん♪」
耳まで真っ赤になったヴォルフラムからぴょんと飛びのくと、
も照れくさそうに一度笑って、すぐに駆けて行った。
ー
それは、コンラートもヨザックも知らない、僕たちだけの、秘密の冒険ー
[
あとがき]
アンケリク「小さい時、ヴォルフラムと二人で何も言わずに城を抜け出す。」でした☆
無記名でしたが、リクありがとうございました!
本当は“ほのぼの”とのリクだった
のですが、シリアス+ちょい甘になってしまいました(汗)
この話は「38 嫌い〜ヒ
ロインの場合〜」とリンクしています。順番はありませんが、続けて読むといいかも
です☆