みんなが君を待っているよ。君を愛しているよ。





















 44 孤独〜君のいない世界〜





















「「「「「がいなくなったぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」」」」」
「はい。ウルリーケ様によりますと、の生体反応が確認出来ないそうです。」


広間に集められた魔族似てねぇ三兄弟、ヨザック、ギュンターの5人は、
ギーゼラの口から出た言葉がとても信じられず、青い顔で口々に騒ぎだした。


つまり何だ!?が死んだとでも言いたいのか!?
「落ち着け、ヴォルフラム。今ここでギーゼラにあたったって仕方がないだろう?」
「そんな、いきなりいなくなっちゃった〜死んじゃった〜って言われてもさ〜ぁ? 信じられるわけないっしょ? 」
「つい先ほどまで元気に走り回っていたというのに!!に一体何があったと いうのです!?」
程の武人が、そう簡単に命を落とすとは考えにくいな。何 か思い当たる節はないのか?」
「………………一つだけあります。」


全 員の視線が、一斉にギーゼラに集まる。


は、陛下の世界に戻ったの かもしれません。」



















「………………はぁ〜あぁ。俺たちは、あいつが帰って来るのを指くわえて待ってるしか ない、って訳?」


ギーゼラに“顔首そろえてじっと待っていても仕方がな い”と言われ、とりあえず各持ち場に戻った面々だったが、
代わるがわるギーゼラの 元を訪れては、こうして愚痴をこぼすのであった。


「………………ヨ ザック?あなたもうこれでここに来るの五回目よ?心配なのはわかるケド、
 あんま りサボってるとグウェンダル閣下に怒られるわよ?」


ギーゼラは仕事の手を 一端止め、呆れた 瞳でヨザックを見つめる。


「あちらには陛下もいらっしゃる訳だし、そんな に心配しなくても大丈夫よ。
 向こうの世界には、あの子に害をなす人物はいないん だし。」
「………………俺が心配してんのは、そんなことじゃないよ。」
「?」
「………………このまま“また”帰って来なかったら………………そう思ったらさ、 気が気じゃないわけよ。」


ヨザックは力なくへらっと笑うと、大きくため息 をついた。


「ヨザ?お前、また来てたのか。」


今度は、コン ラートがそう言いながら部屋に入って来た。


「コンラート?そう言うあなた も、これで4回目ですよ?」


ギーゼラにそうつっこまれると、コンラートは 小さく肩をすくめる。


「グウェンダル閣下とヴォルフラム閣下も3回。お義 父様なんて、5分に1回は来るのよ。」


まったく、しょうがない人たちね、 と小さくこぼすと、ギーゼラは部屋の隅にある小窓から空を見上げた。


「そ ういうギーゼラ?実は君が一 番心配してるんじゃないか?」


「………………どうしてそう思うの?」
「さっきから、窓の方ばかり見てるから。眞王廟からの伝書鳩を気にしてるんだろう?」


図星だったらしく、ギーゼラは少し頬を赤らめて押し黙る。


「………………そうね。私も怖いのかもしれません。またあの子を失うなんて、とても耐 えられないもの。」
「………………そうだな。俺も同じだよ。」









──────────もし、あのまま がこちらに戻って来ていなかったら?──────────









「俺は、一生自分を許せなかっただろう な。」
「俺も、一生隊長を許せなかったでしょうね〜☆」
「私も、一生コンラー トを許せなかったでしょうね。」


口を揃えてそう続けたヨザックとギーゼラ に、コンラートは苦笑いを返す。


「………………そう虐めないでくれよ。」
「わ〜かってますって☆第一、今回がいなくなっちゃったのは、ぜ えぇったいプー坊ちゃんのせいですよ!!
 昨日散々にべったりくっつ いてワガママ言ってましたもんね☆」
だ〜れ〜が〜ワ〜ガ〜マ〜マ〜だ〜!!
げっ!!プー坊ちゃん!?いつの間に!?」
ギーゼ ラ!!まだ眞王廟から伝達は来ないのか!?
「はぁ………………そんなにお 前がカリカリしたって、どうにもならないだろう?」
コンラート!!僕はお前 に聞いているのではない!!ギーゼラに聞いてるんだ!!
「二人とも!!人 の部屋で兄弟喧嘩するのはやめてください!!」
ギーゼラ!!鳩は!?鳩はま だですか!?鳩は!!
「………………お義父様………………(諦)。」
「ギーゼラ、この書類を………………って何でこんなに密度が高いんだこの部屋 は!!
もう!!全員一回部屋から出てってください〜!!



















騒がしくみんなが行き来するギー ゼラの部屋に、の帰国を知らせる伝書鳩がやってくるのは、もう少し後のお話………………



















ー 君がいない。ただそれだけなのに、僕らの世界は色をなくしてしまうんだー



















[ あとがき]
久々の君マUPです。といいつつヒロインの出番はゼロだったり………………(死)
そして、背景はどう見ても鶴ですが、頑張って無理やり鳩だと思い込んで下さい(え)
このお話は「34 服〜君色〜」とリンクしてます☆よろしけれ ば、そちらも見てやってくださいな♪