“結婚”って、やっぱり当事者二人だけ の問題じゃないのよねぇ………………
十弐 友姫〜yuuhime〜
「黄尚書にプロポーズされたあ
あああああああああっ!?」
「ちょっ!!秀麗!!声が大きいってば!!(汗
)」
は慌てて秀麗の口を押さえる。
「が、突然茶州ま
で来るなんて言うから、何かと思えば………………なるほどね〜☆」
「だって、こん
なこと相談出来るのって、秀麗しかいないんだもの。」
は、鳳珠とのこ
とを相談するために、はるばる茶州まで秀麗に会いに来たのだ。
「お兄さん
たちには話したの?」
「………………まだに決まってるじゃない。
楸瑛兄様
は、相談どころか鳳珠の“ほ”の字を出しただけで嫌がるし。」
「(藍将軍………………)龍蓮も論外だしねぇ。で、どうするの?」
「………………
どうしたら良いかわからないから、はるばる茶州まで来たんでしょ〜。」
は頭を抱えると、大きなため息をついた。
「でも、一応、黄尚書とはそう
いうつもりでおつきあいしてたんでしょ?」
「そうだけど………………仕事のことも
あるし、何より家のこともあるし………………」
「そりゃ藍家の方が格上だけど、黄
家なら問題ないんじゃないの?」
秀麗は、お茶をすすりながら、不思議そう
に尋ねた。
「その家じゃなくて、住む家の方よ。今、私って、楸瑛兄様の屋
敷にいるじゃない?
結婚したら、もちろん私は鳳珠の屋敷に行くことになるわけで
しょ?」
「夫婦なんだから、そりゃそうでしょう?………………まさか藍将軍の家か
ら、通うつもりじゃないでしょうね?」
「流石にそこまで神経図太くないわよ!!………………ただ………………」
「ただ………………?」
「楸瑛兄様が心配なの
よ。」
は、お茶の器を手のひらで転がしながら、寂しそうに話し出し
た。
「楸瑛兄様は
、私が藍州から出てきて一緒に住むようになってからは、
ちゃんと毎日ご飯までには
帰って来てたけど、それまでは花街に通って朝帰りばっかりだったんでしょ?
またそ
んな生活に戻っちゃうんじゃないか心配で………………」
「藍将軍のシスコ
ンぶりは有名だけど、実はあなたも相当なお兄ちゃんっ子よね〜。」
秀麗は
呆れた様子でを見つめる。
「で?上の3人はどうなの?」
秀麗の言葉を聞いて、は藍州を治めている三つ子の兄たちを思い浮かべた。
「………………黄家を潰しにかかりかねないわね……………そこまで行くと、もう
政治問題よ。」
「………………確かにねぇ。でも、自身はどうなのよ?」
「そりゃあ………………そろそろ来そうかな〜とも思ってたし、覚悟は出来てるけ
ど………………」
「黄尚書のことだから、きっと仕事のこともちゃんと考えてくれて
ると思うわよ?
そこらへんは安心して任せたら良いんじゃない?」
秀
麗は、いまちい踏ん切り
がつかないを優しく諭す。
「………………私ね、もしも今、楸瑛兄様が
結婚するって言い出したとしたら、泣いて喚いて反対すると思うの。」
「?何
よ急に。」
「だから、兄様が私に結婚して欲しくない気持ちも、わかるから、だから
………………」
「はぁ〜!?何それ!?もう!!じれったいわね!!」
いつまでもハッキリとしないに、とうとう秀麗がキレた。
「あんた
は黄尚書を愛してるの!?愛してないの!?」
「………………あ、愛してるわ
よ!!」
「じゃあ何も考えずに今すぐ帰る!!藍将軍だって子供じゃないんだか
ら!!
いつまでも、兄妹一緒にいるわけにはいかないんだからね!?」
秀麗はを引っ張って無理矢理立たせると、背中をぐいぐい押して
玄関まで連れていった。
「ちょっ、秀麗!!まだ話は終わってな
バタンッ!!!!
無情にもの目の前で扉は
閉められてしまった。
「お嬢様、良いんですか?あのままを帰しちゃって。」
影から様子を
伺っていた静蘭が、秀麗に話しかけた。
「いいのよ。あの子、押しに弱いか
ら、あれくらいしないと駄目なのよ。
それに、今があの子にとって一番良い時期だ
と私も思うしね。」
そう言って秀麗はお茶をすすった。
「大丈
夫。黄尚書なら、必ずを幸せにしてくれるわ。」
「………………そうですね。」
柔らかく微笑んだ秀麗を見て、静蘭もほっとしたように微笑んだ。
「お前にして
は、珍しく勝負に出たな?勝率は五分五分といった所か?」
黎深は杯を月に
かざしながら、向かいに座る鳳珠の方を見やった。
「本人が了承しても、兄
たちがそう簡単に許可すまい。特に三つ子は何をしでかすかわからんしな。」
面白そうに笑う黎深を、鳳珠が不機嫌な顔で睨む。
「私は別
に、黄家がどうなろうとかまわん。だが、そのままこの話
をうやむやにされるのは困る。」
「そうも言っておれんだろう?我ら紅家や三つ子の
藍家より格が落ちるとはいえ黄家も有力一族。
たかだかお前の結婚云々で、藍家に
大人しく潰されてやることはないだろう。そうなったら戦争勃発だな。」
「………………お前、楽しんでるだろう。」
「何を言う。“親友”の行く末を案じてやってるで
はないか。」
そう言って黎深は、くっくっくと笑う。
「それ
で?もしが結婚は無理だと言って来たら、お前、どうする?」
「………………そ
うだな。無理矢理引きずって、黄州にでも逃げるさ。」
鳳珠は口の端を少し
上げて、自嘲するように笑った。
「えらく度胸がついたものだな。のた
めに、全てを捨てる覚悟があるのか?」
「では逆に尋ねよう。お前は、誰のためなら
全てを捨てることが出来る?」
「………………聞かずとも、わかっておろう?」
黎深の言葉に、鳳珠はふっと微かに笑った。
「そうだな。お前
にとっての邵可様の様なものだ、
は。」
そう言うと鳳珠は、仮面を手にとり席を立った。
「聞く所によると、とうのはは、茶州の秀麗の所に行ってるそうじゃないか?
また迎えに行くのか?」
「………………いいや。今度は待つさ。が答えを出し
て、私の所へ帰って来るのを………………」
そう言うと鳳珠は、黎深を残し
て部屋を出ていった。
「………………三つ子には私の方からも、話をつけて
おいた方が良さそうだな。しかし私は、本当に親友想いの良い男だな。」
自
画自賛しながら、頭の中であの手ごわい三つ子をどう言いくるめるか、楽しそうに考える
黎深だった………………。
[
あとがき]
さてさて二人の結婚話はどうなっちゃうのでしょ〜??(笑)
今回はお
互いに親友(笑)に相談させてみました☆
ヒロインのブラコンが発覚しましたね〜(汗
)
そりゃあんなお兄ちゃんに可愛がられたら、誰だってブラコンなりま
すよ!(笑)