凄く厳しくて怖い、って聞いていた黄尚書だけど、
龍蓮の恐ろしさと比べたら赤子も同然よ!!











 弐 光姫〜hikarihime〜











女性ながら、また、18歳という若 さで状元を及第した藍は、
国の財政を司る、戸部の黄尚書の元に配属となった。






「黄尚書!今日の分の書類、まとめ終りました!」

「あぁ。次は府庫に行って、頼んである資料をもらって来てくれ。」

「はいっ! 行って来ます!」






帰ってくるなりは、また慌ただしく 部屋を出て行った。
その様子を微笑ましく見守っていた景侍郎が口を開く。






「やっぱり女の子がいると華やぎますね、鳳珠。それにさんはよく働いてくれるし!
 あなたのイジメにも健気に耐えてくれているし!文句 なしですね!」

「…………柚梨、私がいつをいじめた?」






黄尚書は少し不機嫌 そうな声をあげた。






「秀君の時より厳しいんじゃないです か?愛想つかされて出て行かれても知りませんからね!!
 何でも吏部の紅尚書も彼女 を欲しがってるとか…………。」

「手伝いとして来ていた秀麗と、官吏であると では立場が違うだろう。
 少し位厳しいのがなんだ。」

「…………そりゃそうです ケド。程々にしとかないと『変態仮面のバカバカ〜!!』
 とか言って泣きながら出て 行かれちゃいますよ!!」

「誰が変態仮面だ!!言われなくっても、吏部な んかにやるつもりは小指の先程もない!!
 うちに入れた時も、ゴリ押ししてやっとで手 にいれたんだからな!!」






それを聞いた柚梨が楽しそうに 尋ねた。






「それは“”だからですか?“働き者の官 吏”だからですか?」

「…………何が言いたい?」

「い〜え、ちょっと聞 いてみただけですよ。さて、お仕事お仕事♪」

「………………………………………。」






世界広しと言えども、これ程までに黄尚書をからかえるのは、
景柚梨と紅黎深くらい である。






「…………度々失礼します。」






申し訳なさそうに絳攸が部屋に入って来た。






「おや、李侍郎。“また”いらっしゃったんですか。 さんが配属になってから毎日ですね。」






絳攸は少し 怒った様に顔を赤くした。






「今、楸瑛が遠征中で不在のた め、代わりにの様子を見てくる様に頼まれているんです。」






では、遠征から帰って来たら、今度は楸瑛が毎日来るの か?
と、黄尚書は頭を抱えた。






「…………で?を いじめるな、口説くな、たぶらかすな、手を出すな、
 それ以上一体何があると言うん だ??」

「何があっても絶っっ対に仮面を取らないで下さい!!だそう です。」






3人が顔を見合わせている と、が府庫から戻って来た。






「ただいま戻りました 〜!!って絳攸様、また来てたんですか?
 もう!!楸瑛兄様ったら〜!!絳攸様だっ てお忙しいのに!!」

「いや、は気にしなくていい。では私はこれで失礼 します。」






絳攸は、の頭をくしゃくしゃっとなでる と、少し名残惜しそうに部屋から出て行った。






「本当 に絳攸様ったら真面目なんだから!兄様の言うことなんて無視しちゃっていいのに。
  …………何か兄様に弱味でも握られてるのかしら…………??」






は心底不思議そうに、首をかしげた。






さんもまだまだ、オトコゴコロがわかってないです ねぇ〜♪」

「オトコゴコロ??」

「あ、ここから先は私が言うべきではな いですから。
 ……そうですねぇ、そこで聞こえてないふりしてる尚書様にでも聞いて みるといいですよ。
 私は今から用事があるので、2人で仲良くお留守番して て下さいね♪」






それだけ言うと、柚梨はさっさと部屋を出 て行ってしまった。






「……黄尚書、オトコゴコロって何で すか??」






『…………柚梨め、完全に面白がってるな…………!!』






その後、たっぷりと時間を空けて柚梨が戻って 来ると、
必死に問い詰めると、これまた必死になって誤魔化そうとする黄尚書が いたとか…………。



















[ あとがき]
私は黄尚書スキーなので、鳳珠中心逆ハーになると思います(笑)

[back] [next]