最近、私の中で景侍郎への印象が変わっ て来ました……………………。
絶対、私と黄尚書をからかって遊んでるんだわ!!











 七 星姫〜hoshihime〜











「出張!?」
「え え、ちょっと茶州まで。ですから2人とも、お留守番よろしくお願いしますね。」


朝一番、挨拶がわりに“今から出張に行く”と言い出した柚梨に、は開 いた口が塞がらなかった。


「……………………それにしても、えらく急です ね。」
「ええ、今朝決めたのですよ。急に茶州の甘露茶が飲みたくなっちゃいまし て。」
「それで茶州に…………ですか。(それって出張じゃなくて、休暇じゃ…………)」


不審がるをよそに、柚梨は楽しそうに荷物をまとめる。


「この間、さんが買って来てくれたおまんじゅう、美味しかったですか ら、また買って来ますね。」
「ちょっと、黄尚書! 良いんですか?そんな簡単に行かせちゃって!」


柚梨の分の仕事を全て自分 に回されては困る、とは慌てて鳳珠に助けを求めた。


「うるさいのがい なくなって助かる。」


鳳珠は、さも清々するという風に、あっさりと答え た。


「そりゃそうですよね〜♪私がいないと、さんと2人っきり になれますものね♪」
!!!!


は、柚梨の“2 人きり”という言葉に反応し、顔を真っ赤にした。


「(また余計なこと を!!)……………………心配せずとも、なにもこんな所でとってくったりはせん。」
「……………………どこでなら、とってくうんですか?」


柚 梨!!!!
景侍郎!!!


こうして柚梨は、ぶらり甘露 茶を求めて〜茶州への旅〜に出かけてしまったのであった。














柚梨のいない戸部は、 並々ならぬ忙しさであった。
はあちこち駆け回り、鳳珠は書類に埋もれていた。














「…………ふぅ。 やっと、少し落ち着きましたね。あ、お茶でも入れます?」
「ああ、頼 む。」


流石の鳳珠も、今度ばかりは完全にまいっていた。


「はい、 お茶です。」
「ああ、すまない。」
「ふふっ。何だかこうしてると新婚夫婦みた いですね。」
「!?」


の何気無い台詞に、鳳珠の動きが 止まった。


「??…………………!?も、もしかして、今、私、声に出 してました!?


どうやらの中では、心の呟きだったらしく、思 い切り慌てふためいた。


「今のは、その、えっと、あの、」
「わかっている。」
「え?」
「まだ、しばらくここでの仕事を続けたいのだろ う?」
「……………………。」


は無言で答えた。


「……………………待つさ。」


鳳珠は、優しくを見つめる。


「お前が、生き甲斐である官吏の仕事を辞めてでも、私と一緒になりたいと思える 様になるまで、いつまでだって待つさ。」
「黄尚書…………。」


鳳珠が そこまで自分のことを、真剣に考えてくれていると知り、の胸は熱くなった。


、私はお前のことを、1人の女性として愛している。」


は、突然の愛の告白に息を飲んだ。


「今度こそ、本当のプロポーズだ。 お前は受け入れてくれるか?」


「……………………あの、正直に言っていいです か?」


覚悟はしてはいたが、の否定的な台詞に、鳳珠の体が凍る。


「あの、まだ、私、ちゃんと結婚とか考えたことなかったので…………。」
「……………………そうか。」


鳳珠は少し寂しそうに呟いた。


「あ、あの、でも、私、黄尚書のこと、好きなんです!!


慌てて叫んだに、鳳珠はぽかんとした。


「兄様たちや、景 侍郎や絳攸様たちとは違う!1人の男性とし て黄尚書が大好きなんです!!」


顔を真っ赤にして想いをぶつけるを、 鳳珠の腕が優しく包んだ。


「!?」
「それは、こういうことをしても、 嫌じゃない“好き”か??」


真正面からを抱き締めながら、耳元でそっ と鳳珠が囁く。


「……………………はい。」


は恥ずかしそ うに、うつ向きながら答えた。


「こうしてもか??」


そう言っ て鳳珠は、の顎をそっと持ち上げ、軽く口づけた。


!!!!!!!!!!!!


突然の出来ごとに、の思考回路は停止し てしまった。


「……………………嫌、か??」


鳳珠は切ない瞳 で見つめた。


「……………………嫌…………じゃ、ないですケド…………て ゆか!!いつ仮面取ったんですか!?
「仮面があったら、口づけが出来ないだろ う?(…………このムードの中、仮面の事を気にするか普通…………)」


鳳珠 はあまりにも可愛 らしく照れるに、頬が緩む。


、ならばそれは、“好き”ではなく、“愛 してる”というんだ。私にちゃんと言ってくれないか?」


鳳珠の囁きに、体 の芯から震え上がる。


「……………………愛しています。」


は、顔を真っ赤にして、震える声で答えた。


「鳳珠だ。」
「え?」
「2人きりの時は、で呼んでくれ。」
「……………………鳳珠、あなたを愛 しているわ。」


がそう言い終るのと同時に、再び鳳珠の唇がの唇を 塞ぐ。
今度は先ほどの様な、軽いものではなく、熱く、深く、激しい口づけだった… …………………














そこ へ、何も知らずに、甘い空気が漂う部屋に近付く青年が1人……………………




「失礼 します。、美味しいお菓子が手に入ったから一緒に…………!!!!」


お菓子片 手に、ウキウキと楸瑛が部屋に入ってきた……………………が。


楸瑛 兄様!?


鳳珠と抱き合っていたが、慌てて体を離す。


なななななななな なななななななななななんで黄尚書がお前に、だだだだだだだだだだだだだだだだだだ だ抱きついて!?


“抱き合って”とは死んでも認めたくない楸瑛は、意識 を失いそうになりながらも必死に問いただした。
鳳珠は、楸瑛のために急いで仮面を付ける と、慌てる様子もなく答える。


「私とは、将来を誓いあった仲だ。何も 問題はあるまい。」
!!!!!!!!!
「鳳珠も、これ以上兄様 をあおらないで……………………って、兄様!?


が黄尚書 を“鳳珠”と呼んだことを聞き逃さなかった楸瑛は、真っ青になって剣の鞘に手をかけ た。


……………………黄尚書……………………剣をお取り下さい…… ………………!!!!
兄様!!!!!!









このあと、何とか して楸瑛の暴走は止めたものの、は、夜通し楸瑛に説教……………………
というよ り、考え直すように懇願されたのであった 。



















[ あとがき]
甘!!甘!!!甘〜!!!!(叫)
いや、他のサイトさんでしたらこれくらい普 通の甘さなんでしょうが、花音にはこれ位が限界です!!(笑)
体がこそばゆくなるんです よ(笑)

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