とある月の美しい夜、黄鳳珠は、長い付 き合いである紅黎深と、月明かりの下、2人で酒を酌み交わしていた。











 八 月姫〜tsukihime〜











「鳳珠、お前、藍家の末姫に、完全 に熱をあげてるそうじゃないか??」
「………………お前には関係ないだろう。」


鳳珠は、好奇の目を向ける黎深に、そっけない返事を返した。


「眉目秀麗、才色兼備、そして、彩雲国三大美女ともうたわれる藍家の秘宝中の秘宝。
 しかも、私の秀麗と大親友だという話だ。まぁ、お前にしては、なかなか 良い選択なんじゃないか?」


黎深は、“私の秀麗と大親友”という所を強調 した。


「(“しかも”の後は関係ないじゃないか)お前に、女の好みをとやか く言われる筋合いはない!!」


黎深にからかわれるのが、よっぽど面白くな いのか、鳳珠は黎深の手から酒のとっくりを無理矢理 奪い取る。


「………………一つ、忠告しておく。」


珍しく真面目な表情で話 す黎深に、鳳珠も真剣な顔で返す。


「………………何だ?」
「藍の夫になる ということは、藍将軍の弟になるということだぞ?」
ぶふっ?!


鳳珠は、思わず酒を吹き出した。


「何だ、汚いな。つい でに言っといてやると、“例の”藍龍蓮や、何と言っても、あの三つ子が 兄になるになるんだぞ?」


ごほっ!!げほっ!!かはっ!!


鳳珠は更にむせかえった。


“貴様の甥”になるよ りずっとマシだ!!
!?ちょっと待て鳳珠!!今のは聞き捨てならな いぞ!?
 それでは秀麗とでは、秀麗の方が劣っているみたいではないか!!



今度は、黎深が鳳珠の手からとっくりを奪い、自分の杯に酒を注い だ。


「………………はぁ。だからお前と酒を飲むのは嫌なんだ………………。」


相変わらずの黎深の“姪馬鹿”っぷりに、鳳珠は大きくため息をついた。














へっくしゅ ん!!


藍楸瑛との兄妹のくしゃみが同時に重なった。


「………………??嫌だわ、風邪かしら??」
!!ちゃんと聞い てるのか!?」
「はいはい、ちゃんと聞いてるってば〜」


は、かれ これ半日近く延々と、自分に説教をたれている兄の方をちらりと見ると、大きなため息を ついた。


「………………もう眠いから部屋に戻って良い?」
駄目 だ!!
「兄様は鳳珠の一体何が気に入らないんです?てゆか私が誰を好きな ら気に入るんですか?」
………………お前に色恋はまだ早い!!


ムキ になって叫んだ瑛の台詞に、はとうとうキレた。


「………………お兄 様?は今年でもう18ですのよ?世間一般ではとっくに適齢期。
 想い人の1人 や2人、いない方がおかしいと思いません?」


『………………!!ヤバい!!』


楸瑛は心の中で悲鳴をあげた。
昔か ら喜怒哀楽が激しく、良く笑い、良く泣き、良く怒るだったが、本気で怒った時だけ は、
何故か滅茶苦茶丁寧な口調になる傾向があるのだ。


「……………… それはそうだが、しかし
兄様は、のことを信じておられないのですか!?


は、鬼の様な形相で楸瑛につめよる。


「鳳珠は、 が選んだたった1人の男性です。兄様は、の人を見る目を、疑ってらっしゃるのです か!?
 例え、兄様に反対されたとしても、私の気持ちは変わりませんわ!!」


は最後にそう叫ぶと、きびすを返して、部屋を後にした。



















「兄というのも、辛い立場だな。」




龍 蓮!?


楸瑛が肩を落としていると、急に頭の上から声が降って来た。


「お、お前、いつからここに!?」「………………そうか、 の想い人が、まさか仮面尚書だとは思 わなんだ。」
「お前は本当に人の話を聞かん奴だな!!」
「おお、愚 兄其の4、そなたもいたのか。」


龍蓮は、さも、今楸瑛の存在に気づいたよう に驚いてみせた。


「私は今から、意地悪な兄に恋路を反対され、傷心で枕を 涙で濡らすを、優しく慰めに行って来るぞ。」
「な!!お前は、また自 分ばっかり美味しい所を!!あ、ちょっと、待て!!私も一緒に行く!!」
「………………何故、傷つけた張本人が?」


龍連は不思議そうに眉をしかめ る。


「うっ………………ともかく、お前ばっかりと仲良くなるのは許せ ん!!って、人の話を聞け〜!!!!









こうして彩雲国の夜は、ふけていくのであっ た………………



















[ あとがき]
龍蓮書くのが楽しくて仕方ありません(笑)
最近はまるマ中心の更新ですが、こ ちらも頑張りたいと思います。
それと 、まるマの方は結構感想など戴いたりするんですが、彩雲国は反応が少ないので、今これ を読んでるあなた!!
是非ともご感想、お待ちしています(>_<)

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