前に、ヨザに聞かれたの。
『もし、 目の前の崖にユーリとコンラートが落ちかけていて、片方しか助けられないとしたらどう する?』
そんなの、答えは決まってる。











 19 運命の境界線











「何故そいつがここにいる。」


案の定、グウェンダルはユーリを見たとたん、あからさまに嫌な顔をした。


「コンラート、この3バカトリオを今すぐ連れて帰れ!!」
「兄上!! ユーリとはともかく何故僕まで!?」
「何と言われようと、俺は絶対帰らない からな!!」
「バカって言う方が、バカなんだからね〜っだ!!」



“3 バカトリオ”が、一斉にギャーギャーと騒ぎ立てる。


「兄上!!」
「グ ウェンダル!!」
「グウェン〜!!」


「だ〜っ!!うるさい!!も う良い!!勝手にしろ!!」



とうとうグウェンダルは、怒 って先に行ってしまった。


「ほら言った通りでしょ?グウェンは押しに弱い から絶対大丈夫だって☆」


は、ユーリにこっそりと耳打ちした。


「(今のは押しに弱いというより、相手をするのも面倒って感じな気が………………)あぁ。うん。」


今までも、にこうして全てゴリ押しで押し きられて来たのか?と思うと、
少しグウェンダルに同情してしまうユーリだった………………。


こうして魔王様御一行は、皆で仲良く砂漠を馬で横断することに なったのであった。



















「何で俺とヴォルフラムなの〜!?コンラートだけと一緒とか、明らかにずるいっ て!!」


ユーリは、口を尖らせて横を走るコンラートに抗議をする。


は乗馬が苦手ですからね。ユーリと二人乗りじゃいささか不安なん ですよ。」
「失礼ね!もう乗れるわよ!てゆか暑いってば!!必要以上にくっつく なぁ!!」
「馬の 上なんだから仕方ないだろう?」


暴れるを後ろから抱きすくめる格好 のまま、コンラートは涼し気な表情で爽やかに笑う。


「じゃぁ、私がヴォル フと乗る!!そんでコンラートとユーリがいつも通り一緒に乗れば良いよ!!」
「お 前がヴォルフの後ろだと、ちょっかいかけて邪魔したがるから駄目だ。それで昔、二人し て大怪我しただろう?」
「ちょっかいって、何したの?」


ユーリが興味 津々でに尋ねた。


「ん〜?こちょこちょしてみたり〜背中に文字書い てみたり〜首筋に息吹きかけてみたり〜耳噛んでみたり〜?」
「………………ごめん なさいもういいデスもう聞きまセン!!(涙)ヴォルフラム………………お前も苦労してる んだな。」
「………………………………まぁな。」


その時のことを思い 出したのだろうか、ヴォルフラムは明らかに生気が乏しくなった。


「う るさい!!お前たち、もう少し静かに出来ないのか!?」


遙か先を 行っていたグウェンダルが、 遠くから大声で叫んだ。


「ごっ、ごめん!!(てゆか今騒いでたのは、明ら かに俺じゃない気が………………)」


何だか理不尽さを感じながらも、怒鳴 られるとついつい謝ってしまう自分が情けない。


「気にしない気にしない♪ グウェンダルは一人で乗ってるから寂しいんですよ。俺たちにヤキモチやいてるだ けですから☆」


コンラートが、にやにやしながら小声で喋る。


「………………グウェンダルがヤキモチ………………(汗)」
「確かにグウェンは寂し がりやさんだからね〜☆ハートはうさぎさん並だし♪」


の台詞を聞い て、うさ耳の生えたグウェンダルを想像してしまった男性陣が、一斉に微妙な顔をした。


「………………可愛い。」


そうぽつりと呟いたを、皆が 一斉に振り返る。


「いや、、まぁ、美的感覚はそれぞれだけど、流石 にうさ耳なグウェンダルを可愛いというのはちょっと………………」


ユーリ が、何故だか申 し訳なさそうにフォローをする。


「は?グウェンのことじゃないってば。ほ ら、あそこ。」
「??………………あ。可愛いのがいる。」


が指 さした方を見たユーリも、同じく共感してしまった。


「………………あれっ て、パンダ?」
「砂熊だ!!」


誰かがそう叫んだのと同時 に、突然目の前の人々が一気に消えた。


「な!?ただのパンダじゃない の!?うわっ!!


砂の渦に吸い込まれそうになった俺を、かろ うじて下でコンラートが支え、グウェンダルとが上から引っ張っていた。


「何だよこれ!?なぁ、ヴォルフラムはどうなっちゃうの!?吸い込ま れちゃったよ!?
 俺はいいからヴォルフラムを助けてよ!!」

「それは出来ま せん。陛下の安全確保が最優先事項です。」
「コンラート!!」
「ユーリ、ヴォルフラムだって軍人よ。これ位ちゃんと切り抜けられるわ!!」


が上からフォローを入れる 。


まで!!………………くそっ!!命令だコンラート!!頼む からヴォルフラムを助けに行ってくれ!!」


ユーリは少し泣きそうに なりながら、必死に叫んだ。


「………………わかりました。グウェンダル、 、陛下を頼む。」
「あぁ。」


グウェンダルが頷くと、コンラート はユーリの足を離して砂の中心に飛び降りた。


「コンラート!!ユーリ は私が命に代えても守り抜くから!!」


のその言葉を聞いたコ ンラートは、軽く微笑むと軽やかに砂を滑り降りて行った。



















ー そんなの、答えは決まってる。“ユーリを助けてから、コンラートを追って飛び降りる” わ。ー



















[ あとがき]
最近本編をサボりがちだったので、そろそろ真面目にやろうかと思いま す。

原作沿いって、筋道があって、 好き勝手に私のフィーリングで書けないのが辛いです(>_<)
それに合わせて、尚且つ 自分の書きたいことも上手く重ねなきゃいけないですし(汗)
原作沿いで夢を書いて らっしゃる他の方たちは、本当に凄いなぁと改めて感じちゃいましたよ(>_<)









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