離れていても、君の鼓動が聞こえる。君 の生きる音が聞こえる。
何とか砂漠から抜
け出した俺とヴォルフラムは、一刻も早くユーリたちに追いつくために、
日がな一日
馬を走らせていた。
「早く合流しないと。」
焦りからか、厳し
い表情を浮かべるコンラートの額には、次から次に汗が滲んでくる。
「あっ
ちには兄上がいるんだ。そんなに心配する必要はないだろう?」
何気なく
ヴォルフラムがそう尋ねると、コンラートは眉を寄せてつらそうな表情で呟いた。
「………………が“軍人の目”をしていたんだ。」
「?」
話がよくわからないという風に、ヴォルフラムは汗を拭いつつ小首を傾げ
る。
「のことだから、本当は自分自身でお前を助けに行きたかった筈
だ。
でもそれをしなかった。何故だと思う?
」
「………………ユーリがいたからか?」
「そうだ。だから心配なんだよ。もし今ユーリに何かあったら、は“また”暴走しかねない。」
『コンラート!!ユーリは私が命をかけても、必ず守り抜くから!!』
が、ユーリの側を離れたくないことはよくわかっていた。
だから、俺がこっち
に来るしかなかったんだ。
でも、でも………………………………
「………………危機的状況に陥った時、グ
ウェンダルはとっさにどちらを助けると思う?」
「え!?それは………………。」
「お前と一緒で悩むだろうな。そしたら、いざという時に反応が一瞬遅
れてしまう。
ヨザなら間違いなくを助けるだろうし、俺ならユーリを助け
る。」
──────本
当にそうだろうか?
俺は一瞬の躊躇もなく、を見捨てることが出来る
のだろうか?
「つまり兄上だと、全滅しかねないということか?」
「………………………………そ
うだ。」
「………………………………。」
それっきり黙り込んだ二人
は、なおも黙々と馬を走らせるのであった。
その頃、一方のたちはというと、途中に立ち寄った街でうっかりイクラの軍艦巻頭
にユーリが捕まってしまい、
行く手を阻まれていた。
「このイクラ
………………じゃなかった、イカレ頭!!ユーリを離しなさい!!」
ユーリを人質にとられ、うかつに手を出せないとグウェンダルは、間
合いを取りながら様子を伺っていた。
「お前等、指名手配ノ駆け落ち者ダ
ロ?役人二突き出せバ、賞金がごっそり入っテくるんダヨ!
!」
イクラ頭は改めて三人を見回すと、ユーリの所で目の動きを止めた。
「駆け落ちシタ2人連れと聞イてイたが………………まさか息子マデこさえ
てイるとはナ!!」
「ちょっ、何よそれ!?それは勘違いよ!!」
「そうだそうだ!!」
の反論に、ユーリも即座に賛同する。
「確かに私はこの子の母親だけど、父親は別の人よ!!」
「何!?
不倫デ連れ子デ駆け落ちナノか!?お前、顔二似合わズ恐ろしいコトする奴だ
ナ!!」
「馬鹿者!!話をややこしくするな!!」
「………………、怒るトコが違うから。(泣)」
一瞬動揺したものの、すぐに体制を立て
直したイクラ頭は、床に鉄の鎖を投げ放った。
「もう何でもイイ!!息子ノ
命が惜しけれバ、互いの腕ニそれをはめナ!!」
「………………………………
ちっ!!」
は小さく舌打ちをすると、ちらりとグウェンダルの方を見
やって、何やら目で合図を
送った。
の言わんとしたことがわかたのか、グウェンダルは小さく頷くと、鎖
を拾いあげ自らの左手との右手を繋いだ。
「ユーリ!!今よ!!
痴漢にあったら!?」
「!!頭突きと急所蹴り!!」
「ふ
ごっ!!!!!!!!!!」
の呼びかけに答えたユーリは、見
事にイクラ頭をKOした。
「わぁお!!俺ってやっる〜♪」
「馬
鹿!!そんなこと言ってる場合!?知らない人にのこのこついていっちゃ駄目って、普段
から言ってたでしょ!?」
「!!説教よりも逃げる方が先だ!!行くぞ!!」
グウェンダルは残りのイクラ頭の仲間を蹴り飛ばすと、ユーリに説教
をかますを鎖ごと引っ張って走り出した。
「しっかり捕まってい
ろ!!」
三人座るスペースがないため、を胸に抱えたまま馬に
飛び乗りユーリを後ろに座らせると、
グウェンダルは急いで馬を走らせた。
『』
「!?」
「どうかした?」
ユーリが
グウェンダルごしにに声をかけると、は不安気な表情であたりを見渡した。
『………………………………コンラート?』
「………………ううん。何でもないわ。」
は軽く頭を振ると、再びまっすぐ前を見据えた。
ー
離れていても、あなたの鼓動が聞こえる。あなたの生きる音が聞こえるー
[
あとがき]
なかなか話が進みませんですいません(汗)
原作沿いは小説片手に話を
考えないといけないので、なかなか更新が出来ないのです(>_<)
私は通学の電車の中
で小説を携帯で打ってるので、流石にまるマの原作を見ながらとかは出来ないので(汗
)