もう2度と戻るつもりなんてなかったのに





















 2 優しい場所





















顔を上げると、よく見慣れた懐かしい風景が広がっていた。






「ったく今度は噴水かよ〜」






横で有利が情けない声をあげる。
どうやら私たちは血盟城の敷地内の広場に設置されている噴水にいるようだ。






「有利、大丈夫?怪我はない?」

ってえぇっ!?何でまで一緒に来てんの!?」






陛下ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!






けたたましい足音を立てながら、紫髪の超絶美形が駆け寄って来た。






うわぁっ!!ギュ、ギュンター!?って!!いきなり抱きつくなっ!!」

陛下心配じだんでずよぉぉぉぉお!?






どうやらギュンターの目には有利しか映っていないらしく、
私は濡れたを服絞りながら2人を見守った。











……??」











振り返らなくたって分かってしまう自分に、笑ってしまいそうになる。






「本当になのか??」






もう1度、信じられないという様な驚きの色を含んだ優しい声が響いた。











「コンラート……」











コンラートは、手にタオルを持ったまま呆然と立ち尽くしていた。






…どうして『何でコンラッドがのこと知ってんだ!?』






コンラートの言葉を遮る様に有利が叫んだ。






「…??」






ギュンターが、有利の口から出た””ということばの意味がわからない、という風に首を傾げる。






「…あはは、やっほギュンター!えと、ただいま〜かな。」

「はい、おかえりなさい〜。じゃなくて!!!?何でと陛下が一緒に!?
 それよりあなたは一体今までどこをほっつきあるいてたんですか!?
 私たちがどれほど心配したと思ってぇぇぇぇえ!!






やっと私の存在に気付いたギュンターが、今度は私に抱きついてきた。






は!?何、ギュンターまでのこと知ってるわけ!?一体何がどうなって!?」

「陛下、は…『ギュンター。』






私はギュンターの言葉を制して、有利に近づきひざまづいた。











「ユーリ陛下、ご挨拶が遅くなりまして申し訳ありませんでした。
 元眞魔国ウェラー隊所属、です。以後お見知り置きを。」











「はぃ!?なっ、まったまたぁ〜冗談キツイよ〜!!
 どうせの事だからまた俺を騙そうと…」

「冗談じゃありませんよ、ユーリ。確かには俺の部下であ り、
 俺と同じく人間と魔族のハーフです。」

 

はハーフにも関わらず飛び抜けた魔力を持っていて、三大魔女になぞらえて、
 双黒の瞳と髪から “黒の”とも呼ばれていた程の実力の持ち主なんですよ。」

 




コンラートとギュンターが口々に説明した。






「だっては俺と一緒に高校かよって…ぶえっくしっ!!!!」

「あぁっ!!陛下!!いつまで もその様な格好でおられますとお風邪を召します!!とりあえず中に入りましょう。」

「そうだな。ほらも。話しはそれからだ。」

「…うん。」






この時、ほんとうは…本当は、むちゃくちゃに泣いてしまいたかった。
そうしたらきっとコンラートは、昔の様に私が泣きやむまで抱き締めてくれた だろう
…でも











カンチガイシナイデ。カレハオマエノモノナンカ ジャナイノダカラ…











私は自分自身に言い聞かせるように自らの体をきつく抱き締めた。





















ー枯れた心に光が差す。想いはあふれて止まらないー
























[あとがき]
やっと再会出来ました。次は有利に真実を話ます。









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