あの日の出来事は地球にいた15年間、片時も忘れたことがな かった。
そして、きっとこれからも一生忘れられないだろう





















 5 紅花月夜





















「まぁっ!!ずるいわ!!ヴォルフ ばっかりを独り占めしちゃって!!」

「母様!?」






豊かなブロンドの髪を揺らして、ツェツィーリエが2人に 近寄って来た。






「……ツェツィーリエ上王陛下……お久し ぶりでございます。」

「やぁねぇ、!堅っ苦しいのはなしよ♪ツ・ェ・ リ!でも本当に久しぶりね♪相変わらず可愛いわvvv」

「母様……」






一体どちらが子供なのかわからないツェリのはしゃぎっぷり に、ヴォルフラムは溜め息をついた。






「?何よヴォルフ、 溜め息なんてついちゃって。まぁいいわ♪は借りていくわねvvv
 お話したいこ とがたぁっくさんあ・る・の!」






こうしてはツェリの部屋に強制連行されたのだった。











「ギュンターから聞いたわよ?今ま でユーリ陛下の所にいたんですって?
 とっても素晴らしいわ!!でもね、!!」






ツェリは今までとはうって変わって急に真剣な表情になっ た。






ほんっとぉぉぉぉおに心配したんですからね!!

「……十分反省してます。皆にも一杯怒られましたし。」

、わ かってるの?皆あなたのことが大好きだから、そう!!
 とぉ〜っても愛してるから怒ってる のよ!?」

「くすくすっ、何だかツェリ様、お母さんみたい。」

「それは勿 論、私もこれで3人の息子の母親ですからね!」






この母親 から“あの”グェンダルが産まれて来たというのが、全く不思議でならない。






「そうよ!!息子といえば、。もうコンラートとは 会ったのよね?」

「……………えぇ……………まぁ……………。」






急に表情が曇ったに、ツェリはゆっくりきりだした。






「……あの日、あなたたちに何があったのかコンラートか ら聞いたわ。」

「!!」

「許してあげてとは言わないわ。でもね、 “わかって”あげて。」






優しく語りかけてくるツェリにはなかなか返事を返すことが出来なかった。






「……違 う。違うんですツェリ様……。悪いのは私の方なんです!!私が…私が…」











ワタシガジュリアヲコロシタノ











!!その先を言ったら 本気で怒るわよ!!」






ツェリはが続けようとした台 詞を全て見越して叫んだ。






「誰もあなたが悪いなんて思っ ていないわ!!
 あなたが自分を責める理由なんて全くないの!!」

「……心配し てくれてありがとうございます、ツェリ様。」






何 を言っても考えを変えそうにないを、ツェリは悲しそうな瞳で見つめた。






「……やっぱり私じゃあなたの母親にはなれないのかしら ね……」

「いいえ!ツェリ様!!孤児だった私にとって、母親はツェリ様だけで す!!
 ……そして、ダンヒリーおじ様は今でも父親だと思っています。」






今までツェリの話しを黙って聞いていたが、急に立 ち上がって反論したのを見て、
ツェリは嬉しそうに微笑んだ。






「……ありがとう、。あなたは本当に優しい子ね。 大好きよ。」






そう言うとツェリはの額にそっとキス をした。






「私もツェリ様が大好きです。」






そうしてとツェリはきつく抱き締めあった 。











「さぁ!!湿っぽい話しはこれで終 り!!さぁ、!お着替しましょう♪」

「は!?何でそうなるんです か!!」






急に元気になったツェリにはあきれてしまった。






「だってあなた何で軍服なんて着てるの!?
 もう軍人じゃないんだからおかしいじゃな い!!」

「あ、いえ、これは着る物がなくって、ギュンターにギーゼラのを借り てもらって……」

「問答無用!!ほら!脱ぎ脱ぎしましょうね〜♪」

いっ、いっやぁぁぁぁあ!!!!フリフリだけは勘弁してくださぁぁぁぁあ い!!!!











眞魔国で最強なの はやっぱりツェリ様なのだ、と改めて実感したであった……。





















「……で、そのカッコなわけ?」






不機嫌丸出しなを横目に、ヨザックは必死に笑いを かみ殺していた。

「15年ぶりに会った幼馴染みを見た第1声が『だ〜っはっ はっはっは!!!!』
 っていうのはどうゆうことよ!!」

「まぁまぁ、そう怒り なさんなって。あんまりにもが可愛いから「ぶつよ?」

「スミマセン」






は、ハーフながら魔力が強いせ いもあってか純粋な魔族同等、
いや、それ以上に美しかった。
その上双黒でもあり、 誰もがその美しさを認めていたが…






「そのフリフリは流石 にやり過ぎだろ。」

「今まで散々心配かけた罰、ですって。」






は盛大な溜め息をついた。
ツェリ’Sチョイス のフリフリドレスを着たはコンラートの予言通り、
鳩の知らせに驚いて飛んで帰っ て来たヨザックとテラスで酒を酌みかわしていた。






「…… ジュリアが死んでからずっと死んだ目をしてた隊長が、
 ある日突然ふらっといなくなっ て、そんでまたある日、
 スッキリした顔で戻って来たなぁと思ったらまた死んだ目に 逆戻り♪
 さて、なぁ〜んでだ☆」

「さて、なぁ〜んででしょうねぇ〜」






はやる気なく答えた。






「どっかの誰かさんが、ある日突然ふらっといなくなったからだよ。」

「………………………………………………………………。」

「……何だよ、むくれた顔するなよ。まだ誰もお前だな んて言ってないだろ?」

「……ヨザ、性格悪い。」

「そんなのとっくの昔 からわかってた事でしょ〜が♪
 まぁ、隊長の胸の内なんて俺らがいくら考えたってわ かんないケドさぁ〜あ」






そこで一旦話しを止めたヨザッ クがを片手で抱き寄せ、耳元で囁いた。






「少なくと も“俺”が死んだ目をしてたのはお前のせいだよ、。」

「……………いつ からヨザまでタラシになったのよ。
 タラシはコンラートだけで足りてるっての!」

「あ れれ、これまた手厳しいね。隊長を引き合いに出されちゃぁなぁ〜☆
 ま、お前が隊長にホの 字なことはそれこそ昔っからわかってたケド…ってぇっ!!
 足踏むなよぉ 〜!!」

「うるさい!!今夜のヨザは地雷踏みすぎ!!離せぇぇぇ!!!!」

「まぁまぁ、もうちょいこのままこのまま。今日は月が綺麗だし!ね!」

「…… 月関係ないし。……まぁ、でも確かに綺 麗ね。今日の月は少し紅いわ……」

の目のがもっと紅いケドね。」

ほんっと、うるさいなぁ!……何かちょっとヨザと話してたら安心しちゃったの よ!!」

「それは良ぅござんした☆ほぉら、お兄さんの胸でた〜んとお泣き♪
 ま、おふたりさんが過去に捕われてウジウジしてる間に、
 お姫さんは俺がサクッといただ いちゃいますから☆」

「?どういう意味?」

「あ、はわかんなくて いいから☆男同士のヒ・ミ・ツ♪」

「?何よそれ……」






怪しく微笑むヨザックの視線の先に、怒りをあらわにたた ずむコンラートがいたことを、
は知るよしもなかった……





















ーヒトはとても寂しがりやだか ら、誰かを愛さずにはいられない、
 誰かを求めずにはいられないのー

























[ あとがき]
長々と読んで下さってありがとうございました!コンラート夢なのにコンラー トが全く出てこない…( 汗)
そろそろ過去話しを小出しにしていこいかとは思ってるんですケド…なかなか話しが 進まなくてごめんなさい!(叫)









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